個人事業主向けー事業以外の収入から事業による損失を相殺するタイミングとは

非事業における損失(Non-Commercial losses)

オーストラリアの税法では趣味に近い事業(に見える)で生じた損失は損金算入できません。たとえその活動がビジネス的な性質を持っていたとしても、明らかに利益が出そうに無かったり、営利目的または事業性が無い場合は、その損失を他の収入(お給料、株からの配当金、利子所得など)と相殺する事はできません。これを非事業における損失(Non-Commercial losses)と呼びます。しかしこういう場合は、次に同じ事業で利益が出るまで損失を繰越す事ができます。これはオーストラリア国内または海外における事業の両方に当てはまります。

いくつかの条件を満たした正真正銘の事業活動での損失は、もちろん損金算入して他の収入と相殺する事ができます。非事業における損失ー趣味、投資、投機からの損失は他の収入との相殺は出来ません。

それでは、その条件とはどの様なものがあるのかを見てみましょう。

下記のテーブルは、どの状態が事業による損失で他の収入と相殺出来るか、又は非事業とみなされ損失を繰り越さなければいけないのかを表しています。このテーブルは個人事業主の場合のみでパートナーシップの場合は少し異なります。ここでは説明を省きます。

ステップ 詳細
ステップ1:先ず、あなたの事業の売上高とその他の収入をチェックしましょう。 もしあなたの事業が第一次産業、又は専門的な芸術活動による損失である場合は、’excepted activity’と呼ばれます。もしキャピタルゲインを除いたその他の収入が4万ドル以下の場合は、事業の損失をその他の収入と相殺する事ができ、それ以上の制限はありません。

もしあなたの損失を出している事業が上に挙げた第一次産業、専門的な芸術活動に当てはまらない場合で下記の会計年度にある場合:

>2009−2010会計年度、又はそれ以降、そしてその他の収入が、

ー25万ドル以下の場合は、ステップ2

ー25万ドル以上の場合は、ステップ3

>2009−2010会計年度より前の場合、ステップ2

ステップ24つのテストを確認 もし下記の4つのテストの内、1つでもパス出来れば事業とみなされ、あなたの事業からの損失はその他の収入と相殺する事ができます。

>事業の売上高テスト

>利益テスト

>物的財産テスト

>その他の資産テスト

これら4つのテストをパス出来ない場合は、ステップ3

ステップ3:国税局長の裁量 国税局長の裁量に委ねるかどうかを確認しましょう。

 

その他の収入とは

あなたのその他の収入とは、損失を出している事業以外からの収入を表します。それらには下記が含まれます。

  • 課税所得(事業の損失を除く)
  • ATOへ報告されるフリンジベネフィット
  • ATOへ報告される雇用主からの年金の支払
  • 投資による合計損失

 

4つのテストとは

  • 事業の売上高テスト

事業に最低でも2万ドルの売上高がある。

  • 利益テスト

事業は今年も含めて過去5年間の内、3年間は課税対象となる利益を出している。

  • 物的財産テスト

事業で使われている物的財産または物的財産の利用権利の価値が継続的に少なくとも50万ドルの価値がある場合。

  • その他の資産テスト

事業活動に必要となる資産(物的財産、車、バイク、その他の車両を除く)の価値が継続的に少なくとも10万ドルの価値がある場合。

 

いかがでしたか?日本もそうだと思いますが、オーストラリアでは税金の取りっぱぐれが無い様に政府が事細かに税法を制定しています。これは毎年変更されたり改正されたりしますので、税務申告の際に不明点があれば会計士に相談しましょう。三宅会計事務所は、英語の税法を分かりやすい日本語で丁寧にご説明いたします。

ご注意 – 非活動に見えるABNはキャンセルされます

オーストラリア商業登記所は定期的にABN(オーストラリアンビジネスナンバー)の過去における税務申告記録チェックして非活動に見えるものについては自動的にキャンセルされる事になりました。

ATO(オーストラリア国税局)は2018年、年間を通してチェックすると発表し、下記の事項に当てはまる個人事業主、パートナーシップ、信託(トラスト)はABNをキャンセルされる可能性がありますので注意が必要です。

  • ATOに事業活動を停止している旨をを伝えている場合
  • 過去2年間、事業収益が無かったと申告している場合
  • 過去2年以上、事業報告書および税務申告書を提出していない場合

ABNが自動的にキャンセルされるのを防ぐ為に、もし未だ提出していない過去の税務申告書や事業報告書がある場合はATOへの申告情報を最新にする必要があります。

例えば事業収益が非課税枠内にある個人事業主は、税務申告書や事業報告書を提出する必要が無いと考えATOへ提出していない場合があります。しかしながら事業活動に携わる納税者は売上、利益がたとえ無くても一般的には税務申告をする必要があります。

個人事業主は税務申告を提出する際に下記の事項に注意しましょう。

  • 個人の税務申告書における補足部分(事業活動報告欄)のページが含まれているか
  • 個人事業および専門分野の損益を表すスケジュールが含まれているか

ドロップシッピングとGST(消費税)の関係についての最新情報

オーストラリアで低価格にて販売され、消費されている輸入品 ($1,000以下の商品)に関して 2018年7月1日から新しく導入されるGSTルールは、オーストラリアでGSTに登録しているドロップシッピング業者(オーストラリアの小売業者を含む)へ影響を及ぼします。

ドロップシッピングとは商品がネットショップなどで売れた時点で、未だ商品は海外にあり、直接卸売り業者から消費者へ輸送される事を意味します。

現在のGSTルールでは(2018年4月)、この売上に関してGSTは発生しません。しかしながら2018年7月1日より導入されるこの低価格輸入品へのGST課税法は、オーストラリアの小売業者がこれらの輸入品の売上を他の現地での売上と同様に計上して、売れた時点でGSTが課税される事になります。

この変更は、オーストラリア国内で消費する目的で現地または海外で調達された商品が販売された時点のGST課税を同等にする為です。

現在GST登録をしていない業者は、ドロップシッピングの売上もGSTに登録するか否かを決める際に含めなければいけません。