ATO(国税局)による税務調査とは

毎年ATO(オーストラリア国税局)は異なる産業ごとの代表的な数値(売上高、原価、人件費などの事)を表すスモールビジネスベンチマーク(指標)を発行します。ATOが税務調査のような法令遵守の為に動く場合は極めて率直です。もしあなたのビジネスがこれらのベンチマークから外れた数値を表している場合にATOは、何故その様な結果に至ったのかを詳しく調べようとします。

ただ単にベンチマークの指標から外れているからと言って、これが税金の問題へ繋がる訳ではありません。例えば、あなたのビジネスモデルは普通とは異なる場合もありますし、ビジネスのパフォーマンスが芳しくない所為なのかも知れません。しかしながらベンチマークの指標から外れていると言う事は、ATOの目に付きやすい対象になりますので、何故その様な結果に至ったのか、外れている理由が脱税目的では無い事をクリアに証明出来る様にして置かなければ行けません。それらの証明を出来れば書面で残しておく事が望ましいです。もし何もベンチマークから外れている理由を証明出来ない場合、ATOは単純にベンチマーク比率を当てはめて修正税務査定書を発行する事になります。

これらのベンチマーク比率は下記の通りです。

  • 原価と売上の比率(人件費を除く)
  • 総経費と売上の比率
  • 家賃と売上の比率
  • 人件費と売上の比率
  • 車両費と売上の比率
  • 資産以外の購入費総計と売上総額の比率
  • 消費税抜きの売上と売上総額の比率

例えば獣医師で売上が$300,001から$800,000の場合、原価と売上の比率は25%~29%(平均27%)で総経費の平均は78%です。人件費と売上の比率は21%~29%で、家賃は5%~8%となります。

ベンチマーク指標は各産業の平均的な数値を知る為にも役立ちますし、あなたのビジネスのパフォーマンスを測る良い材料でもあります。更にベンチマーク指標は、あなたのビジネスが競合相手より劣っている場合に改善の機会を差し示す良いきっかけにもなります。

社用車の私的利用とフリンジベネフィット税

オーストラリアではフリンジベネフィット税申告の終了年度が3月31日という事で、今回は、よくある質問のうちの一つ社用車の私的利用とフリンジベネフィット税の関係について説明します。

フリンジベネフィット(経済的利益、以下”FBT”)税とは雇用主に課される税金で、従業員又はその関係者に与えられた経済的利益をグロスアップした金額に47%(2018年3月31日終了年度)の税率で課税されます。詳しいFBTの計算方法はここでは省きます。

会社名でビジネス使用の為に社用車を購入したからと言ってFBT税を免除される事にはなりません。例えば、社用車で子供を迎えに行ったり、買い物に行ったり、週末に使ったり、自宅のガレージに停めていたり、配偶者が使っていたりする場合は全てFBTの対象となります。社用車の私的利用に関してはATO(オーストリア国税局)の監査が入りやすい領域と言えますので、ATOが知らなければ多少の私的利用は申告しなくても大丈夫だろうという感じでFBT税申告するのは賢明とは言えません。

社用車の私的利用とは単純に車を従業員が(取締役も含)仕事目的以外で使った場合を指します。会社から私的に利用出来る許可がある無しに関わらず、自宅のガレージに停めていたり、セキュリティー目的で自宅近辺に駐車している場合も全てFBT税の対象となります。自宅兼オフィスの駐車場に停めている場合も同様です。

走行距離計がビジネスにおける仕事のスケジュールとかみ合わない時など、社用車が仕事目的以外で使われたかを見分ける事は難しいことではありません。ATOはこの辺りに目を光らせています。

 

オーストラリアで人気のUTE(ピックアップトラック)&商用車に関しての新しいFBT免税ルール

通常、雇用主が従業員に車を与えた場合は経済的利益を与えたとしてFBT税課税の対象となります。しかしFBT法には、例えばピックアップトラックや商用車の限られた範囲内(稀で不定期な)での私的利用に関しては免除されるとあります。それでは実用的なレベルでどの様に稀で不定期な私的利用と判断するのかを見て行きます。つい最近ATOは規定者がどの辺りの免除項目を重点的にレビューするかの法令遵守ガイドを発表しました。下記のリストが一般的にATOが認める免除の範囲です。

  • まず基本は、雇用主は従業員に仕事の任務を果たしてもらう為の適格な車を与える。適格な車とは商用目的を指します。商用目的の車については厳格な決まりがありますが、ここでの説明は省きます。
  • 雇用主は妥当なプロセスを経て私的利用を限定しなければならないのと、それらを監視する為の測定システムを作らないといけない。
  • このシステムとは例えば、会社の方針として従業員が提出した仕事関連の走行距離と私的使用の走行距離を年間の総走行距離と比べるなど。
  • 車にはチャイルドシートなどのビジネスには関係の無いアクセサリーが付いていない。
  • 車の購入額は税法上の高級車税しきい値額(2018年会計年度において低燃費車$75,526、他$65,094)よりも低くなければならない。
  • 従業員に与えられている車はサラリーサクリファイスアレンジメント(Salary Sacrifice Arrengementここでの説明は省く)の範囲内ではない。
  • 従業員の私的利用の免除が認められている範囲とは、基本的に自宅から仕事場(通勤)までで、それ以上の延長(例えば仕事帰りの子供のお迎え)は2Kmまで、合計で年間に750Kmまで。通勤以外の私的利用(週末の使用など)は合計で年間200Kmまでです。

これら上記の条件を全て満たしている場合はATOのFBT免除に関する監査は入りにくいでしょう。しかし雇用主は上記の条件を満たしていて、私的利用を測定するシステムがあるという証明がいつでも出来るように記録を保管しておく義務があります。

オーストラリアの事業形態についてートラスト編

今回は四番目のトラストの特徴についてご紹介します。

  1. トラスト/信託(Trust)

トラストを設立する際には正式な捺印証書(Deed)の作成が必要になります。捺印証書にはトラストがどの様に運用されるか、また被信託人(Trustee)によりどの様に管理されるかが含まれます。捺印証書の内容が複雑になれば設立費用は他の事業形態に比べて高価になる可能性があります。被信託人は、法律上トラストを管理する義務があります。個人または法人のどちらでも被信託人になる事が可能です。トラストが生み出した利益は信託受益者(Beneficiaries)へと分配されます。

主立った法人の特徴は下記の通りです。

  • 年度末の税務申告の際はトラストのTFN(タックスファイルナンバー)で申告しなければならない。
  • ABN(オーストラリアンビジネスナンバー)の取得義務があり、全ての事業取引に使用しなければならない。
  • 年間の売上が7万5千ドルを超える場合はGST(消費税)の登録義務がある。
  • 捺印証書内の表現によるか又はどの信託受益者にトラストの事業利益が分配されるかにより、信託受益者では無く被信託人が納税する場合もある。
  • 一定の条件を満たしていればスモールビジネス用税特権を利用する事ができる。
  • トラストで雇っている従業員に年金(スーパー)を支払う義務がある。被信託人が従業員である場合も含まれる。

トラストの事業利益に対して誰に最終納税義務があるのか?

  • トラストの事業利益がオーストラリア居住の成人に分配された場合にはトラストに納税義務はない。それぞれ利益を分配された個人が確定申告にて納税する。
  • トラストから事業利益がオーストラリア非居住の信託受益者または未成年に分配された場合は被信託人が非居住者または未成年の信託受益者の代わりに納税する。そしてこれらの信託受託者が個人の確定申告をする際に、それぞれ分配された利益を収入として申告し、被信託人が代わりに納税した分を税額控除として申告する事が出来る。
  • トラストが事業利益を分配せずにトラスト内に蓄積させた場合は、被信託人が蓄積した利益に対して個人の最高税率が課される事になる。

以上がトラストの特徴についての説明でした。

オーストラリアの事業形態についてー法人編

今回は三番目の法人の特徴についてご紹介します。

  1. 法人(Company)

法人とは自然人以外で権利、義務の主体として認められるもので、他の事業形態に比べ高い設立、管理費用を伴います。さらに法人は他の事業形態より多くの報告義務があります。法人は株主のものであり、取締役によって事業の経営が行われます。法人は資産保護の役割を果たしますが、法人が起こした行動、借入金等の最終責任は取締役に対して問われる可能性もあります。また法人はオーストラリア証券投資委員会(ASIC)により統制されています。

主立った法人の特徴は下記の通りです。

  • 法人はTFN(タックスファイルナンバー)の取得が義務付けられているのと、法人税の申告をする際にTFNを使用しなければなりません。
  • 法人がCorporate Act 2001(会社法2001)に登録している場合はABN(オーストラリアンビジネスナンバー)を取得する権利があります。会社法に登録して無い場合でも実際に事業を営んでいる場合はABNを取得する事が可能になります。
  • 年間の売上が7万5千ドルを超える場合はGST(消費税)登録の義務があります。
  • 事業で得たお金は法人のものであって、法人の事業を経営している個人が正式にお給料または配当以外で個人使用の為にお金を引き出す事は出来ません。
  • 会計年度末の法人税の申告が義務付けられています。
  • たいていの場合、昨年度の納税額に元付いて所得税を毎月または四半期毎に分けて納める事になります。
  • 定められた法人税率で納税しますが、一定の条件を満たしていればスモールビジネス用の譲許税率が適応されます。
  • 各従業員へ年金(スーパー)の支払義務があります。これはあなた自身が経営者、取締役である場合も含まれます。

以上が法人の特徴についての説明でした。

オーストラリアの事業形態についてーパートナーシップ編

今回は二番目のパートナーシップの特徴についてご紹介します。

  1. パートナーシップ(Partnership)

パートナーシップとは二人以上のグループ又は仲間同士が集まって事業を営み、事業で生じた利益または損失を分配する事業形態です。よくある例が友達同士、家族でパートナーシップを設立するなどです。この形態は比較的安価に設立および管理が出来ます。事業をパートナー同士で運営して、利益または損失を分けあいます。

スタート時に書面でのパートナーシップ同意書(以下同意書)または契約書を結んでおく事は必須ではありませんが、あった方が後々スムーズに運営出来るでしょう。同意書に含むべき内容はどの様に利益または損失を分け合うか、どの様に事業を運営、管理するのか等です。

またパートナー同士の意見が割れた時の為に誰が最終決断の権利があるのか、事業からの具体的な利益の分配の仕方、新しいパートナーを受け入れる場合、既存のパートナーが事業から手を引きたい場合等、面倒に思われるかも知れませんが後々のトラブルを避ける為に同意書を事前に結んでおく利点は十分にあります。また単純にパートナーの頭数で平等に利益または損失を分配するのでは無い場合、確定申告の際には同意書の存在が特に重要になります。

パートナーシップ内の各パートナーは従業員にはなりませんが、パートナーシップの事業形態で従業員を雇う事は可能です。各パートナーは各自の適確年金基金(スーパーファンド)への支払等の管理義務は各々で行う責任がありますが、事業で雇っている従業員へのスーパーの支払は必須です。

主立ったパートナーシップの特徴は下記の通りです。

  • 事業の利益、損失、管理、運営はパートナー同士で行う。
  • パートナーシップは独自のTFN(タックスファイルナンバー)を持っており、年度末に事業で生じた全ての収入、費用を含んだパートナーシップの確定申告をする必要がある。
  • 確定申告ではパートナーシップレベルで利益に対しての税金は支払いませんが、利益を分配しあったパートナー個人のレベルで課税される事になる。
  • 各パートナー個人に分配されたパートナーシップからの利益は個人税率で課税され、一定の条件を満たしていれば税額控除を受ける事ができる。
  • パートナーシップはABN(オーストラリアンビジネスナンバー)を登録する義務があり、全ての事業取引にはABNを使用しなければならない。
  • 年間の売上金額が7万5千ドルを超える場合、パートナーシップはGST(消費税)登録の義務がある。

個人事業主の場合と同じで、ここでも注意したいのが、パートナーシップの事業から各パートナーがお金を個人使用の為に引き出した場合、お給料として費用算入は出来ない事です。

以上がパートナーシップの特徴についての説明でした。

オーストラリアの事業形態についてー個人事業主編

オーストラリアで事業をする際には大きく分けて下記4つの事業形態を選ぶ事になります。4回に分けてそれぞれの持つ特徴をご紹介します。

  1. 個人事業主(Sole Trader)
  2. パートナーシップ(Partnership)
  3. 法人(Company)
  4. 信託またはトラスト(Trust)

この内のどれかの形態を選ぶ事により、税金の支払義務、資産保護、掛かるコストに影響しますので、しっかり理解した上で選択するのが賢明です。

しかし、状況の変化または事業が成長して今の形態に合わなくなった場合は変更することも可能です。例えば、個人事業主から始めて事業の成長に合わせて法人に切り換える等。それでは、初めに個人事業主からどういった特徴があるのかを見て行きましょう。

  1. 個人事業主(Sole Trader)

一番シンプルで安価に事業を始められる事業形態です。事業オーナーは一人で、その個人がで事業を管理する形態です。個人事業主は全ての事業局面において法的責任をその個人が全て負うことになります。従業員を雇う事は出来ますが、自分自身を雇う事は出来ません(自分自身にお給料を払う事は出来ない)。個人事業主は従業員への年金(スーパー)の支払義務があります。リタイア後の生活の為に自分自身のスーパーへの積立義務もあります。

主立った個人事業主の特徴は下記の通りです。

  • 個人のタックスファイルナンバー(TFN)を使って税務申告をする。
  • 事業で生じた全ての収入および費用を個人の確定申告書にて申告する。個人の申告書に事業用の申告欄があり、別で個人事業主用に確定申告する訳では無い。
  • オーストラリアンビジネスナンバー(ABN) の取得義務があり全ての事業取引にはABNを使用しなければならない。
  • もし事業の年間の売上が7万5千ドルを超える場合はGST(消費税)の登録義務がある。
  • 事業で生じた利益には個人税率が適応され、一定の条件を満たしていれば税額控除を受ける事ができる。
  • 年度末の確定申告の際に所得税を支払うために一定金額を積み立てておく必要があるが、大抵の場合は4半期ごとに所得税を国税局に仮払いしておく事になります。
  • 個人の適格年金基金(スーパーファンド)へ事前に知らせておけば、スーパーの支払は損金算入する事が出来ます。

注意したいのは事業からお金を引き出した場合にお給料として損金算入出来ない事です。

以上が個人事業主の特徴についての説明でした。

ネガティブギヤリングとは

ネガティブギヤリング (Negative Gearing) とは

投資物件をローンで購入して、入ってくる家賃収入から減価償却費、共益費、市税等の不動産管理費の合計を差引いた純利益が、ローンに対する利息の支払合計より少ない場合、その物件はネガティブギアの投資物件と言われます。英語では、”A rental property is negatively geared” です。

損失を出している投資物件は一見すると投資している意味が無いように思われますが、現時点 (2018年2月) オーストラリアでは、確定申告の際にその損失分をあなたのお給料または個人事業収入から差引くことができるのです。

被雇用者の場合は雇用主が被雇用者の代わりに税法で定められている分の源泉徴収税を被雇用者に支払う前に差引いて国税局に納めます(額面と手取りのお給料は違いますよね)。 個人事業主の場合は、自分で所得税仮払を去年度の課税対象所得に元付いて大抵、四半期ごとに納めます。

源泉徴収税は額面のお給料に対して納税されているので、確定申告の際に額面のお給料から投資物件の損失を差引くと課税対象所得が減り(ネガテイブギアが効いた状態)、税金を納め過ぎている分が国税局より返金されることになります。また所得との相殺に使い切らなかった投資物件の損失額は翌年に繰越すことができます。

長い目で見て不動産の価値が上がると予想される場合は、例えいま現在損失を出し続けていても、安定した収入がありネガティブギアリングにより納税額を減らせるのであれば買えるうちに買っておくという投資家は多いです。

現在ネガティブギアの投資物件をお持ちの被雇用者の方で、翌年の確定申告の際も返金が予想される場合は、国税局に雇用主へ源泉徴収税の減額を申請する事ができます(出来れば6月30日までに)。そうする事で、確定申告時に一回で多額な返金を受け取るより、定期的に受け取るお給料の手取りが増える方がキャッシュフローの管理がし易くなります。

以上が簡単なネガティブギアリングの説明でした。

減価償却費とは

減価償却費とは

通常、固定資産を購入した場合、一回で費用計上することは認められていません。ではどうやって費用計上していくかと言うと、その固定資産の法定耐用年数(*1)どおりに毎年費用計上していくことになります。これらに該当する固定資産を減価償却資産といいます。この費用は、下記全ての納税者に当てはまります。

- 大、中小、零細企業

- 個人事業主

- 不動産投資家

- 被雇用者、従業員

減価償却資産の法定耐用年数はそれぞれ決められていて毎年少しずつアップデートされます。ATO(オーストラリア国税局)のウェブサイトから表をダウンロードすることができます。しかしながら土地、流通在庫などは減価償却資産にはなりません。

 

一般的な減価償却のルールとは

簡素化された減価償却費ルール(*2)をのぞいて、一般的な減価償却のルールは下記の通りです。

- 大、中小、零細企業、個人事業主は100ドルまでは一回で費用計上可能

- 不動産投資家、被雇用者、従業員は300ドルまでは一回で費用計上可能

以上が簡単な減価償却費の説明となります。

 

(*1) 法定耐用年数は、機械や設備といった減価償却資産の法定上の使用可能な見積もり期間の事をいいます。

(*2) スモールビジネス用に景気刺激策によって作られた一時的に2万ドルまでの減価償却資産を一回で費用計上できるルール。ここではルールに関する説明は省きます。

オーストラリアのアフォーダブルハウジングに投資する場合の税金優遇

オーストラリアでは、アフォーダブルハウジングと言って、市場の家賃相場より約10%ほど安く借りれる家又はアパートが在ります。幾つかの条件を満たしていれば、そこに住む事が出来ます。本題では無いので、ここでは条件の説明は省きます。

オーストラリアの税法では、通常12ヶ月以上保持していた株、不動産などの資産を売却した場合、課税対象になる売却益の半分50%が免除されます。

個人投資家がアフォーダブルハウジングに投資した場合は、さらに追加で10%免除、つまりは最大60%分免除される事になります。

しかしアフォーダブルハウジングに投資した全員がこの優遇を受けられる訳ではなく、2018年1月1日から最低3年間、連続して保持していなければならない。

また、投資家が非居住者、一時的な居住者、市場の家賃相場で貸し出している期間は免除の対象にはならず、合計の10%免除分からその期間に比例している分を差し引かないといけないなどの条件があります。

もし投資信託からの配当の一部がアフォーダブルハウジングへの投資であった場合も信託が最低3年間保持している場合は、個人投資家のレベルで追加10%免除を受けることが出来ます。

プロパティフリッピングに対するオーストラリア国税局の対応

ここオーストラリアでは居住目的で不動産を購入して、しばらく住んだ後(最低でも3ヶ月程度)に売却した場合は、キャピタルゲイン税が免除されます。

今日お話するのは、この制度を上手く利用して、購入後に住みながら改装して綺麗にした後に売却する投資家 (最初から売却目的) にはキャピタルゲイン居住者免除は通用しませんよという話。

オーストラリア国税局(ここではATOと呼びます)は大きく分けて下記3種類の納税者に、脱税していないかの目を光らせています。

1. 個人の不動産投資家ー不動産購入の際に当初の目的は長く住むもしくは、長期にわたって家賃収入を得る予定で購入。その後、改装工事をして予定よりも早く売却した場合。おそらくこの場合は、キャピタルゲイン税の免除の対象になりうるでしょう。

2. 独立した利益獲得事業者ーこの納税者は最初から改装後に売却を目的として不動産を購入して移り住み、改装後にすぐ売却するタイプ。この場合は高い確率でキャピタルゲイン税免除の対象にならないでしょう。

3. 不動産リニューアル事業ーこの納税者はプロパティフリッピング、つまりは不動産に改装工事を加えて付加価値を付けた後に売却する事業活動を定期的に連続してビジネスとして行っているタイプ。この場合も2番目同様に高い確率でキャピタルゲイン税免除の対象外となります。

上記の3種類からも分かるように、居住用の不動産に住んでいたからと言って売却益が税金免除の対象になるわけではないという話ですね。