ドロップシッピングとGST(消費税)の関係についての最新情報

オーストラリアで低価格にて販売され、消費されている輸入品 ($1,000以下の商品)に関して 2018年7月1日から新しく導入されるGSTルールは、オーストラリアでGSTに登録しているドロップシッピング業者(オーストラリアの小売業者を含む)へ影響を及ぼします。

ドロップシッピングとは商品がネットショップなどで売れた時点で、未だ商品は海外にあり、直接卸売り業者から消費者へ輸送される事を意味します。

現在のGSTルールでは(2018年4月)、この売上に関してGSTは発生しません。しかしながら2018年7月1日より導入されるこの低価格輸入品へのGST課税法は、オーストラリアの小売業者がこれらの輸入品の売上を他の現地での売上と同様に計上して、売れた時点でGSTが課税される事になります。

この変更は、オーストラリア国内で消費する目的で現地または海外で調達された商品が販売された時点のGST課税を同等にする為です。

現在GST登録をしていない業者は、ドロップシッピングの売上もGSTに登録するか否かを決める際に含めなければいけません。

雇用主向けーシングルタッチペイロールとは

今年2018年7月1日から20名又はそれ以上の従業員を抱える雇用主のATO(国税局)への給与、源泉徴収税、スーパー(年金)の申告方法が変わります。この新しいシステムはシングルタッチペイロール(Single Touch Payroll)と呼ばれます。この日から従業員へ給与を支払ったと同時にATOへ会計ソフトを通じて、全ての給与情報が報告される事になります。会計ソフトのプロバイダーによって実際に使用できる時期が異なりますのでご注意願います。

いつ準備が整っていないといけないのか?

  • 従業員数20名、又はそれ以上を雇っている雇用主は、2018年7月1日から。初年度は移行時期により、申告漏れ等による罰金は適用されません。
  • 従業員数19名、又はそれ以下を雇っている雇用主は、2019年7月1日から。これは法案が議会を通る事を仮定しています。

この新システムが及ぼす影響とは?

  • 毎回の給料日の度に会計ソフトからATOへお給料やスーパーの情報が全て報告される。
  • 給料支払のサイクルを変更する必要はない。今まで通り、毎週、隔週、毎月のサイクルで支払えばよい。
  • 源泉徴収税、スーパーの支払期日も今まで通りで、変更はないが早く支払っておく事も出来る。
  • シングルタッチペイロールを通して支払った給与に関しては、会計年度末に従業員用にペイメントサマリーを発行する必要が無くなります。ATOが従業員へmyGovを通じてその内容を開示する事になります。
  • 雇用主は、新しく従業員を雇う際に今までは紙でやり取りしていたTax File Number Declaration、Superannuation Standard Choice form、Withholding declarationがオンラインで済ませられる様になります。
  • 給与が支払われる度に従業員はそれぞれのmyGovで年始からの総支給額を確認する事が出来る様になります。

どの様に準備を進めればよいか?

まず、2018年4月1日の時点で従業員が何人いるかを数えます。

  • もし20名、又はそれ以上の場合はシングルタッチペイロールを2018年7月1日から始められる様に会計ソフトをアップデートしなければいけません。
  • 従業員数は自己申告制で、ATOへの報告義務はありません。

会計ソフトのプロバイダーへ下記の内容を尋ねてみましょう。

  • シングルタッチペイロールのシステムがいつどの様にアップデートされるのか?
  • いくつかの会計ソフトプロバイダーはアップデートが間に合わず、延期を申し込んでいる様なので、始められる日程を確認しておきましょう。

まだ会計ソフトを導入されてない雇用主はシングルタッチペイロールの機能が付いているソフトを選びましょう。

  • もし20名、又はそれ以上従業員を抱える雇用主は2018年7月1日からシングルタッチペイロールに適応する為に会計ソフトを導入しましょう。もしどのソフトを選んで良いかが分からない場合は、会計士に相談しましょう。

会計士への相談。

  • もちろん、会計士があなたの代わりにシングルタッチペイロールでATOへ申告することも可能です。

どの様に従業員数を数えるか?

まず2018年4月1日の時点で何人いるかによってシングルタッチペイロールで報告しなければいけないのかが決まります。その時点で20名、又はそれ以上の場合2018年7月1日からATOへシングルタッチペイロールを使って報告する義務が生じます。

どの雇用形態の従業員が頭数に含まれる?

  • フルタイムの従業員
  • パートタイムの従業員
  • カジュアルの従業員で4月1日の時点に含まれていて、3月中にも働いていた場合。
  • 海外の駐在する従業員
  • 有給、無給に関わらず休暇中の従業員
  • 季節限定で働く従業員(例えば農家での収穫時期に短期限定で働く従業員)

注意事項ーこれらの従業員は含まれません。4月1日までに辞めた従業員、3月中に働いていないカジュアルの従業員、独立しているコントラクター、派遣社員、会社の取締役、官職保有者、教祖。

中小企業用に簡素化された減価償却ルール

もしあなたのビジネスがATOの定める中小企業のカテゴリーに当てはまる場合、簡素化された減価償却ルールを使って税務申告する事が出来ます。カテゴリーとは下記の通り、あなたのビジネスが(単体又は関連事業の合計)下記の売上以下の場合となります。

  • 2016年7月1日以降は1,000万ドル以下
  • 2016年7月1日以前は200万ドル以下

このルールの元では、下記の事柄が可能となります。

  • 2万ドル以下の減価償却資産に関しては即座に損金算入が出来る。ただしその減価償却資産は、2015年5月12日午後7時半以降に購入されていて、直ちに使用出来る状態になければならない。有効期限は2018年6月30日までとなっている(2018年3月13日現在)。
  • 2万ドル又はそれ以上の減価償却資産はプール(他の減価償却資産と纏めて)して下記の通りに減価償却する。

           – 購入した日付に関わらず、初めの1年目は購入額の15%を損金算入する事が可能

           – 2年目以降は、残存価額の30%を損金算入する事が可能

  • もしプールしている減価償却資産の残存価額 (その年の減価償却費を差引く前の) が2万ドル以下なら全てを損金算入する事が可能

もしあなたがビジネスの税務申告の際に簡素化された減価償却ルールを選んだ場合、下記に従わなければいけません。

  • このルールを特別扱いされている減価償却資産を除いて全てに適用させなければいけない。
  • このルールは全ての減価償却資産に適用される。2万ドル以下を即座に損金算入して他は一般の減価償却ルールを使うということは出来ない。
  • 減価償却費として損金算入される対象は、ビジネス目的でなければいけない。私的使用の%は損金算入不可。

もし今後あなたのビジネスが上記の中小企業カテゴリーに当てはまらなくなった場合、又は単純に簡素化されたルールを使う事を止めた場合は、一般的な減価償却ルールを使用しなくてはなりません。しかしながら、前年度から繰り越されたいるプールされた減価償却資産は償却し終わるまでルールが適用されます。

GST(消費税)と不動産開発業者

不動産開発業者と購入者間の取引においてGST(消費税)の納税方法に大きな変更がありそうです。

もし現在の法案が議会で通れば、2018年7月1日から新しい住宅用敷地または新しい分譲住宅の購入者は決済の一貫として、購入額に付随するGST(消費税)をATO(オーストラリア国税局)に付託しなければいけなくなりました。

これは現状のGST付託システムからの大きな変更となります。現状のGST付託システムは、開発業者が売却した際のGSTを管理していて、翌四半期(決済日から最長3ヶ月後)のBAS(事業報告書)にATOへ付託しています。この改正の目的は、開発業者が次の事業報告書の期日までに、事業自体を解散させて集めたGSTの付託を逃れようとするのを防ぐ為に立案されました。

もともとのGSTマージンスキーム(ここでの説明は省略)に登録している開発業者のGST支払額が少なかったとしても、購入者は購入全額の11分の1を支払わないと行けなくなるので、開発業者のキャッシュフローには多大なインパクトを与える事になります。こうなると開発業者は事業報告書申告の際に還付金を受け取る事になります。

この法改正は下記の売却および長期賃借契約に適用されます。

  • 新しい住宅用敷地(修復によって創られた商用&住宅用敷地を除く)
  • 今後のため住宅用に分譲された土地

購入者への影響

もしあなたが新築不動産の購入者なら2018年7月1日からは、決済時に総購入額の11分の1をATOへ直接支払わなくてはいけなくなります。売り主はあなたにGSTの支払義務がある事と決済時に実際に支払わなければいけない事を知らせておく義務があります。

開発業者への影響

2018年7月1日から売り主は住宅用敷地の売却額に対するGSTを徴収して付託する必要が無くなります。その代わりに売り主は書面で購入者に対してATOへのGSTの支払義務と金額を通知しなければなりません。売り主がGSTマージンスキームに登録していてGSTの支払金額が減少するしないに関わらず、総購入額の11分の1を購入者は支払わなければいけません。

一般的に購入者への通知事項は下記が含まれます。

  • 開発業者の名前とABN(オーストラリアンビジネスナンバー)
  • 購入者がGSTをATOへ支払わなければならない期日(通常は不動産の決済時)
  • 一部または全ての購入額の支払いが現金以外ではない事

もしも売り主がこれらを通知しなかった場合は$21,000の罰金が課されます。

売り主は購入者がATOへ支払った金額を債権として受け取ります(もしも単に徴収されただけで支払われて無い場合は不可)。もし売り主が支払ったGSTが受け取ったGSTの総額よりも多い場合はATOより還付金を受け取ります。

この新ルールは審議されている最中で恐らく可決されるであろうと予測されている状態ですが、2018年7月1日以降の決済時に関わる開発業者と購入者は注意しておく必要があるでしょう。

ATO(国税局)による税務調査とは

毎年ATO(オーストラリア国税局)は異なる産業ごとの代表的な数値(売上高、原価、人件費などの事)を表すスモールビジネスベンチマーク(指標)を発行します。ATOが税務調査のような法令遵守の為に動く場合は極めて率直です。もしあなたのビジネスがこれらのベンチマークから外れた数値を表している場合にATOは、何故その様な結果に至ったのかを詳しく調べようとします。

ただ単にベンチマークの指標から外れているからと言って、これが税金の問題へ繋がる訳ではありません。例えば、あなたのビジネスモデルは普通とは異なる場合もありますし、ビジネスのパフォーマンスが芳しくない所為なのかも知れません。しかしながらベンチマークの指標から外れていると言う事は、ATOの目に付きやすい対象になりますので、何故その様な結果に至ったのか、外れている理由が脱税目的では無い事をクリアに証明出来る様にして置かなければ行けません。それらの証明を出来れば書面で残しておく事が望ましいです。もし何もベンチマークから外れている理由を証明出来ない場合、ATOは単純にベンチマーク比率を当てはめて修正税務査定書を発行する事になります。

これらのベンチマーク比率は下記の通りです。

  • 原価と売上の比率(人件費を除く)
  • 総経費と売上の比率
  • 家賃と売上の比率
  • 人件費と売上の比率
  • 車両費と売上の比率
  • 資産以外の購入費総計と売上総額の比率
  • 消費税抜きの売上と売上総額の比率

例えば獣医師で売上が$300,001から$800,000の場合、原価と売上の比率は25%~29%(平均27%)で総経費の平均は78%です。人件費と売上の比率は21%~29%で、家賃は5%~8%となります。

ベンチマーク指標は各産業の平均的な数値を知る為にも役立ちますし、あなたのビジネスのパフォーマンスを測る良い材料でもあります。更にベンチマーク指標は、あなたのビジネスが競合相手より劣っている場合に改善の機会を差し示す良いきっかけにもなります。

社用車の私的利用とフリンジベネフィット税

オーストラリアではフリンジベネフィット税申告の終了年度が3月31日という事で、今回は、よくある質問のうちの一つ社用車の私的利用とフリンジベネフィット税の関係について説明します。

フリンジベネフィット(経済的利益、以下”FBT”)税とは雇用主に課される税金で、従業員又はその関係者に与えられた経済的利益をグロスアップした金額に47%(2018年3月31日終了年度)の税率で課税されます。詳しいFBTの計算方法はここでは省きます。

会社名でビジネス使用の為に社用車を購入したからと言ってFBT税を免除される事にはなりません。例えば、社用車で子供を迎えに行ったり、買い物に行ったり、週末に使ったり、自宅のガレージに停めていたり、配偶者が使っていたりする場合は全てFBTの対象となります。社用車の私的利用に関してはATO(オーストリア国税局)の監査が入りやすい領域と言えますので、ATOが知らなければ多少の私的利用は申告しなくても大丈夫だろうという感じでFBT税申告するのは賢明とは言えません。

社用車の私的利用とは単純に車を従業員が(取締役も含)仕事目的以外で使った場合を指します。会社から私的に利用出来る許可がある無しに関わらず、自宅のガレージに停めていたり、セキュリティー目的で自宅近辺に駐車している場合も全てFBT税の対象となります。自宅兼オフィスの駐車場に停めている場合も同様です。

走行距離計がビジネスにおける仕事のスケジュールとかみ合わない時など、社用車が仕事目的以外で使われたかを見分ける事は難しいことではありません。ATOはこの辺りに目を光らせています。

 

オーストラリアで人気のUTE(ピックアップトラック)&商用車に関しての新しいFBT免税ルール

通常、雇用主が従業員に車を与えた場合は経済的利益を与えたとしてFBT税課税の対象となります。しかしFBT法には、例えばピックアップトラックや商用車の限られた範囲内(稀で不定期な)での私的利用に関しては免除されるとあります。それでは実用的なレベルでどの様に稀で不定期な私的利用と判断するのかを見て行きます。つい最近ATOは規定者がどの辺りの免除項目を重点的にレビューするかの法令遵守ガイドを発表しました。下記のリストが一般的にATOが認める免除の範囲です。

  • まず基本は、雇用主は従業員に仕事の任務を果たしてもらう為の適格な車を与える。適格な車とは商用目的を指します。商用目的の車については厳格な決まりがありますが、ここでの説明は省きます。
  • 雇用主は妥当なプロセスを経て私的利用を限定しなければならないのと、それらを監視する為の測定システムを作らないといけない。
  • このシステムとは例えば、会社の方針として従業員が提出した仕事関連の走行距離と私的使用の走行距離を年間の総走行距離と比べるなど。
  • 車にはチャイルドシートなどのビジネスには関係の無いアクセサリーが付いていない。
  • 車の購入額は税法上の高級車税しきい値額(2018年会計年度において低燃費車$75,526、他$65,094)よりも低くなければならない。
  • 従業員に与えられている車はサラリーサクリファイスアレンジメント(Salary Sacrifice Arrengementここでの説明は省く)の範囲内ではない。
  • 従業員の私的利用の免除が認められている範囲とは、基本的に自宅から仕事場(通勤)までで、それ以上の延長(例えば仕事帰りの子供のお迎え)は2Kmまで、合計で年間に750Kmまで。通勤以外の私的利用(週末の使用など)は合計で年間200Kmまでです。

これら上記の条件を全て満たしている場合はATOのFBT免除に関する監査は入りにくいでしょう。しかし雇用主は上記の条件を満たしていて、私的利用を測定するシステムがあるという証明がいつでも出来るように記録を保管しておく義務があります。

オーストラリアの事業形態についてートラスト編

今回は四番目のトラストの特徴についてご紹介します。

  1. トラスト/信託(Trust)

トラストを設立する際には正式な捺印証書(Deed)の作成が必要になります。捺印証書にはトラストがどの様に運用されるか、また被信託人(Trustee)によりどの様に管理されるかが含まれます。捺印証書の内容が複雑になれば設立費用は他の事業形態に比べて高価になる可能性があります。被信託人は、法律上トラストを管理する義務があります。個人または法人のどちらでも被信託人になる事が可能です。トラストが生み出した利益は信託受益者(Beneficiaries)へと分配されます。

主立った法人の特徴は下記の通りです。

  • 年度末の税務申告の際はトラストのTFN(タックスファイルナンバー)で申告しなければならない。
  • ABN(オーストラリアンビジネスナンバー)の取得義務があり、全ての事業取引に使用しなければならない。
  • 年間の売上が7万5千ドルを超える場合はGST(消費税)の登録義務がある。
  • 捺印証書内の表現によるか又はどの信託受益者にトラストの事業利益が分配されるかにより、信託受益者では無く被信託人が納税する場合もある。
  • 一定の条件を満たしていればスモールビジネス用税特権を利用する事ができる。
  • トラストで雇っている従業員に年金(スーパー)を支払う義務がある。被信託人が従業員である場合も含まれる。

トラストの事業利益に対して誰に最終納税義務があるのか?

  • トラストの事業利益がオーストラリア居住の成人に分配された場合にはトラストに納税義務はない。それぞれ利益を分配された個人が確定申告にて納税する。
  • トラストから事業利益がオーストラリア非居住の信託受益者または未成年に分配された場合は被信託人が非居住者または未成年の信託受益者の代わりに納税する。そしてこれらの信託受託者が個人の確定申告をする際に、それぞれ分配された利益を収入として申告し、被信託人が代わりに納税した分を税額控除として申告する事が出来る。
  • トラストが事業利益を分配せずにトラスト内に蓄積させた場合は、被信託人が蓄積した利益に対して個人の最高税率が課される事になる。

以上がトラストの特徴についての説明でした。

オーストラリアの事業形態についてー法人編

今回は三番目の法人の特徴についてご紹介します。

  1. 法人(Company)

法人とは自然人以外で権利、義務の主体として認められるもので、他の事業形態に比べ高い設立、管理費用を伴います。さらに法人は他の事業形態より多くの報告義務があります。法人は株主のものであり、取締役によって事業の経営が行われます。法人は資産保護の役割を果たしますが、法人が起こした行動、借入金等の最終責任は取締役に対して問われる可能性もあります。また法人はオーストラリア証券投資委員会(ASIC)により統制されています。

主立った法人の特徴は下記の通りです。

  • 法人はTFN(タックスファイルナンバー)の取得が義務付けられているのと、法人税の申告をする際にTFNを使用しなければなりません。
  • 法人がCorporate Act 2001(会社法2001)に登録している場合はABN(オーストラリアンビジネスナンバー)を取得する権利があります。会社法に登録して無い場合でも実際に事業を営んでいる場合はABNを取得する事が可能になります。
  • 年間の売上が7万5千ドルを超える場合はGST(消費税)登録の義務があります。
  • 事業で得たお金は法人のものであって、法人の事業を経営している個人が正式にお給料または配当以外で個人使用の為にお金を引き出す事は出来ません。
  • 会計年度末の法人税の申告が義務付けられています。
  • たいていの場合、昨年度の納税額に元付いて所得税を毎月または四半期毎に分けて納める事になります。
  • 定められた法人税率で納税しますが、一定の条件を満たしていればスモールビジネス用の譲許税率が適応されます。
  • 各従業員へ年金(スーパー)の支払義務があります。これはあなた自身が経営者、取締役である場合も含まれます。

以上が法人の特徴についての説明でした。

オーストラリアの事業形態についてーパートナーシップ編

今回は二番目のパートナーシップの特徴についてご紹介します。

  1. パートナーシップ(Partnership)

パートナーシップとは二人以上のグループ又は仲間同士が集まって事業を営み、事業で生じた利益または損失を分配する事業形態です。よくある例が友達同士、家族でパートナーシップを設立するなどです。この形態は比較的安価に設立および管理が出来ます。事業をパートナー同士で運営して、利益または損失を分けあいます。

スタート時に書面でのパートナーシップ同意書(以下同意書)または契約書を結んでおく事は必須ではありませんが、あった方が後々スムーズに運営出来るでしょう。同意書に含むべき内容はどの様に利益または損失を分け合うか、どの様に事業を運営、管理するのか等です。

またパートナー同士の意見が割れた時の為に誰が最終決断の権利があるのか、事業からの具体的な利益の分配の仕方、新しいパートナーを受け入れる場合、既存のパートナーが事業から手を引きたい場合等、面倒に思われるかも知れませんが後々のトラブルを避ける為に同意書を事前に結んでおく利点は十分にあります。また単純にパートナーの頭数で平等に利益または損失を分配するのでは無い場合、確定申告の際には同意書の存在が特に重要になります。

パートナーシップ内の各パートナーは従業員にはなりませんが、パートナーシップの事業形態で従業員を雇う事は可能です。各パートナーは各自の適確年金基金(スーパーファンド)への支払等の管理義務は各々で行う責任がありますが、事業で雇っている従業員へのスーパーの支払は必須です。

主立ったパートナーシップの特徴は下記の通りです。

  • 事業の利益、損失、管理、運営はパートナー同士で行う。
  • パートナーシップは独自のTFN(タックスファイルナンバー)を持っており、年度末に事業で生じた全ての収入、費用を含んだパートナーシップの確定申告をする必要がある。
  • 確定申告ではパートナーシップレベルで利益に対しての税金は支払いませんが、利益を分配しあったパートナー個人のレベルで課税される事になる。
  • 各パートナー個人に分配されたパートナーシップからの利益は個人税率で課税され、一定の条件を満たしていれば税額控除を受ける事ができる。
  • パートナーシップはABN(オーストラリアンビジネスナンバー)を登録する義務があり、全ての事業取引にはABNを使用しなければならない。
  • 年間の売上金額が7万5千ドルを超える場合、パートナーシップはGST(消費税)登録の義務がある。

個人事業主の場合と同じで、ここでも注意したいのが、パートナーシップの事業から各パートナーがお金を個人使用の為に引き出した場合、お給料として費用算入は出来ない事です。

以上がパートナーシップの特徴についての説明でした。

オーストラリアの事業形態についてー個人事業主編

オーストラリアで事業をする際には大きく分けて下記4つの事業形態を選ぶ事になります。4回に分けてそれぞれの持つ特徴をご紹介します。

  1. 個人事業主(Sole Trader)
  2. パートナーシップ(Partnership)
  3. 法人(Company)
  4. 信託またはトラスト(Trust)

この内のどれかの形態を選ぶ事により、税金の支払義務、資産保護、掛かるコストに影響しますので、しっかり理解した上で選択するのが賢明です。

しかし、状況の変化または事業が成長して今の形態に合わなくなった場合は変更することも可能です。例えば、個人事業主から始めて事業の成長に合わせて法人に切り換える等。それでは、初めに個人事業主からどういった特徴があるのかを見て行きましょう。

  1. 個人事業主(Sole Trader)

一番シンプルで安価に事業を始められる事業形態です。事業オーナーは一人で、その個人がで事業を管理する形態です。個人事業主は全ての事業局面において法的責任をその個人が全て負うことになります。従業員を雇う事は出来ますが、自分自身を雇う事は出来ません(自分自身にお給料を払う事は出来ない)。個人事業主は従業員への年金(スーパー)の支払義務があります。リタイア後の生活の為に自分自身のスーパーへの積立義務もあります。

主立った個人事業主の特徴は下記の通りです。

  • 個人のタックスファイルナンバー(TFN)を使って税務申告をする。
  • 事業で生じた全ての収入および費用を個人の確定申告書にて申告する。個人の申告書に事業用の申告欄があり、別で個人事業主用に確定申告する訳では無い。
  • オーストラリアンビジネスナンバー(ABN) の取得義務があり全ての事業取引にはABNを使用しなければならない。
  • もし事業の年間の売上が7万5千ドルを超える場合はGST(消費税)の登録義務がある。
  • 事業で生じた利益には個人税率が適応され、一定の条件を満たしていれば税額控除を受ける事ができる。
  • 年度末の確定申告の際に所得税を支払うために一定金額を積み立てておく必要があるが、大抵の場合は4半期ごとに所得税を国税局に仮払いしておく事になります。
  • 個人の適格年金基金(スーパーファンド)へ事前に知らせておけば、スーパーの支払は損金算入する事が出来ます。

注意したいのは事業からお金を引き出した場合にお給料として損金算入出来ない事です。

以上が個人事業主の特徴についての説明でした。