オーストラリアの事業形態についてートラスト編

今回は四番目のトラストの特徴についてご紹介します。

  1. トラスト/信託(Trust)

トラストを設立する際には正式な捺印証書(Deed)の作成が必要になります。捺印証書にはトラストがどの様に運用されるか、また被信託人(Trustee)によりどの様に管理されるかが含まれます。捺印証書の内容が複雑になれば設立費用は他の事業形態に比べて高価になる可能性があります。被信託人は、法律上トラストを管理する義務があります。個人または法人のどちらでも被信託人になる事が可能です。トラストが生み出した利益は信託受益者(Beneficiaries)へと分配されます。

主立った法人の特徴は下記の通りです。

  • 年度末の税務申告の際はトラストのTFN(タックスファイルナンバー)で申告しなければならない。
  • ABN(オーストラリアンビジネスナンバー)の取得義務があり、全ての事業取引に使用しなければならない。
  • 年間の売上が7万5千ドルを超える場合はGST(消費税)の登録義務がある。
  • 捺印証書内の表現によるか又はどの信託受益者にトラストの事業利益が分配されるかにより、信託受益者では無く被信託人が納税する場合もある。
  • 一定の条件を満たしていればスモールビジネス用税特権を利用する事ができる。
  • トラストで雇っている従業員に年金(スーパー)を支払う義務がある。被信託人が従業員である場合も含まれる。

トラストの事業利益に対して誰に最終納税義務があるのか?

  • トラストの事業利益がオーストラリア居住の成人に分配された場合にはトラストに納税義務はない。それぞれ利益を分配された個人が確定申告にて納税する。
  • トラストから事業利益がオーストラリア非居住の信託受益者または未成年に分配された場合は被信託人が非居住者または未成年の信託受益者の代わりに納税する。そしてこれらの信託受託者が個人の確定申告をする際に、それぞれ分配された利益を収入として申告し、被信託人が代わりに納税した分を税額控除として申告する事が出来る。
  • トラストが事業利益を分配せずにトラスト内に蓄積させた場合は、被信託人が蓄積した利益に対して個人の最高税率が課される事になる。

以上がトラストの特徴についての説明でした。

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