新型コロナウィルスが流行した事による企業間の生産性のギャップ

ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Co)のハーバード・ビジネス・レビューに掲載された最近の記事によると、パンデミックの影響で業績の高い企業とそうでない企業の間でプロダクティビティ/生産性の差が広がっている事が述べられています。企業の中にはコロナ下でも、最新のテクノロジーを駆使して効果的かつ効率的に驚くほどの生産性の維持が出来た会社もありますが、ほとんどの企業は12ヶ月前と比べて生産性が低下しています。成功している企業とそれ以外の企業の間の目立った違いとしては、「彼らは新型コロナが発生する前にどれだけ才能やエネルギーの管理に貴重な時間をうまく費やせたか、という事に尽きる」と述べています。

アトラシアンのデータサイエンティスト達は(Atlassian data scientists)、パンデミック期間中のソフトウェアユーザ-の就業の集中力と時間の長さについても調査を行いました。一般的には仕事と家庭生活をうまく切り離すことができず、またロックダウン中は仕事の開始と終了が曖昧になっていた為、労働時間が長くなっていることが明らかになりました。興味深いことに、オーストラリアの労働者の平均的な一日長さは、パンデミック前の海外の労働者に比べて最大1時間も短く、オーストラリアの平均労働時間は約6.8時間であるのに対し、米国は7.2時間程でした。

しかし労働時間が長いからと云って、それが直接生産性に繋がる訳ではありません。アトラシアンの調査によると、1日の労働時間の長くなると、仕事の集中力が早い時間と遅い時間に増える傾向があり、「通常の」時間帯の集中力は一般的に低下することがわかっています。

では、生産性はどうやって測ればいいのか?

ベイン・アンド・カンパニーはこのように提案しています。

●         最良の企業は無駄な時間を最小限に抑え、従業員の集中力を維持出来るよう心がけていますが、それ以外の企業はそれを実地していません。パンデミックが発生する前にも、チームメンバーや顧客と効果的にコラボレーションが出来ていた企業が最も優れている企業と云えるでしょう。コラボレーションが不十分で非効率的な仕事のやり方は、生産性を低下させるだけです。

●         最良の企業は、仕事のパターンを変え、それぞれの違う才能を生み出す事でうまく機能しています(彼らは、それぞれの希少な才能を獲得し、それを育成、チーム化し、上手くリードしています)。

●         最良の企業は、従業員をいかにやる気を起こさせ、仕事に従事させる方法を知っています。研究によると、熱心で貢献的な従業員は、単に現状に満足しているだけの従業員よりも45%も生産性が高いと言われています。

どの企業も比べると生産性の格差は常に存在し、パンデミックは、単に格差を引き立たせただけに過ぎない、と述べています。

FBT 2021. 税金と従業員の福利厚生

フリンジベネフィット税(FBT)は、その複雑さと多くの事務処理が必要な事から、オーストラリアで最も嫌われている税金の1つです。新型コロナウィルスのロックダウンにより、多くの作業パターン等が変更され、さらに複雑な行程が追加されました。

 フリンジベネフィットとは、企業が従業員や“アソシエイト”(配偶者や子供、友人など、従業員と何らかの関係のある人の事)に対しての「支払い」の事ですが、給料や賃金とは異なります。例をあげると

●         会社側からビジネスで使用する社用車や駐車場を従業員に提供

●         会社主催のクリスマスパーティーを催す等(従業員は掛かった費用は支払う義務はない)

●         割引料金でビジネスの商品やサービスを会社から提供して貰える

つまり日本で云うところの福利厚生にあたります。

もし事業がまだ FBT に登録されていない場合、フリンジベネフィットが提供されていたかどうかを理解する必要があります。何故なら一般的に、ATOはフリンジベネフィットに登録していない雇用主とデータにミスマッチがあった場合には、綿密に調査するからです。

FBT課税事業年度は3月31日になります。主要な問題点とオーストラリア税務局(ATO)のホットスポットを見ていきましょう。

FBTの対象外となるものは何ですか?

特定の福利厚生は、主に従業員の雇用の為に提供されている場合は、FBT規則から除外されます。

●         携帯用電子機器(例:ラップトップ、ipad、プリンター、GPSなど)。大企業は、従業員1人につき1台の携帯用電子機器の購入または払い戻しに制限されています。

●         ノートパソコン、タブレット、仕事の書類や日記など、仕事で使用する為にこれらの機器を持ち運ぶためのハンドバッグ、ブリーフケース、小型のかばん。

もしこれらのバッグをプライベートと仕事の両方で使用している場合は、その用途に応じて振り分けが必要となり、FBTが全て免除されるわけではないと云う事を念頭に置いて下さい。

例えばグッチのバッグにたまにipadを入れて持ち運ぶケースには、ATOはフリンジベネフィット税を免除する事はないでしょう。(グッチは通常、会社では仕事の為に支給はされないでしょうし、ファッションとしてよりプライベートの用途が強いうえに、たまにipadを入れて持ち運んだとしても、仕事の要素としては見られないからです)

●         Tools of trade.

また、従業員に提供されたアイテムやサービスが300ドル未満で、かつ一度限りのものであれば、一般的にはマイナーベネフィットに分類され、フリンジベネフィット税が免除されます

新型コロナとフリンジベネフィット税

ATOは、新型コロナが勤務形態や勤務条件に影響を与えた為、今年はFBTコンプライアンスへのアプローチ方法が変更されました。詳細は以下の通りになります。

航空券や宿泊施設などの緊急援助

 従業員が新型コロナによる悪影響を受ける危険性があるため、従業員を緊急にサポ-トする為の緊急援助費用は、一般的にはFBTの対象とはなりません。

これには以下が含まれます。

●         従業員の転居に伴う費用(オーストラリアへの帰国のための航空券の支払いを含む)

●         従業員が制限(国内、州間または州内)のために移動ができない場合に、発生する食費および一時的な宿泊費。

●         従業員が自主隔離または強制隔離をする為に提供される福利厚生。

●         従業員の交通費(レンタカーや一時的な宿泊施設への交通費を含む)

フライ・イン・フライ・アウトの労働者の場合は、彼らが国境制限や渡航制限のために帰国できなかった時に、一時的な宿泊施設や食事などを提供する事が含まれます。

(FIFO / Fly in fly out=オーストラリアの大規模な鉱山地帯等で従業員を都心から離れた遠隔地に送り、一定の期間ごとに雇用する方法です。

例えば、従業員達は2週間連続で鉱山に泊まりがけで勤務し、次の2週間は休暇を取り、自宅に帰省する、といういわゆるシフト制の勤務体制の事です)

ヘルスケア

 従業員へのインフルエンザ予防接種の提供は、会社側の従業員に対する感染予防及び健康管理とみなされる為、一般的にはFBTの対象外となります。しかし、その場合の治療は従業員が職場及び職場に隣接した場所で提供されている場合にのみ、FBTの免除対象になります。また継続的な医療費の費用は一般的に免除されません。

社用車

従業員の自宅に置かれている社用車は、一般的にFBTの対象となります。しかし、今年のFBTイヤ-は、新型コロナの影響により、多くの会社の駐車場や事業所が閉鎖されました。その結果、ATOはオペレ-ティングコストメゾット(運転コスト方法=実際に走行したぶんや、かかった費用によりFBT価値を算出する方法)を使用する雇用主に対して、「自宅の車庫に入れたまま全く運転されていない、または車を維持する目的で短時間しか運転されていない場合は、フリンジベネフィットとみなされない」としています。ただし車が使用されていないことを示す走行距離計のメータ-を維持する必要があります。

車を使用していた場合、一般的にはフリンジベネフィットが適用されますが、事業目的で使用していた場合は、その課税価格は下がります。また、車が事業のためだけに使用された場合は、課税価格がゼロになる事もあります。

ログブック

新型コロナウィルスの期間中は、運転のパターンに影響を与えている可能性が高く、ATOは12週間のログブック期間が中断されたところでいくつかの譲歩をしました。

●         すでにログブック方式を使用していて、かつ既存のログブックを持っている場合は、これを使用する事ができます。ただし、ロックダウン期間中も含めて年間でどれだけ車が運転されたかを示すために、年間の走行距離計の記録を残しておく必要があります。

●         ログブックを初めて使用した年である場合でも、12週間の正確なログブックを保管する必要があります。しかし、新型コロナが12週間の運転パターンに影響を与えた場合、ATOは運転パターンの変化を考慮して、ログブックに記載されている使用量を調整することを許可しています。

非営利のサラリーパッケージ

 – 非営利の雇用主は、免除とリベート可能な上限を利用するために、サラリーパッケージの食事接待を従業員に提供することはよくある事です。ATOは、2020年3月1日時点で認可されている供給者によって食事が提供されている場合には、これらの取り決めを調査しないと表明しています。

キャンセル料– キャンセルされたイベントの返金不可の費用に関しては、従業員が自らイベントの費用を支払ったりまたは払い戻しを受けた場合を除き、FBTから免除されます。

つまり、雇用主がイベントの費用を支払った場合、そのキャンセル料は利益が生まなかった為、雇用主の義務となります。もし従業員がイベントの為に支払った場合は、キャンセル料は払い戻しを受けた従業員の義務になります。これは誰が取り決めをしたかにより、異なってきます。

ATOの危険信号

ATOが問題点をたやすく発見する方法は、ATOに提供された情報の中にミスマッチがある場合です。一般的な問題点としては、以下のようなものがあります。

●         フリンジベネフィットが認められない交際費控除

– ATOが問題にすぐ気付くケースとして、フリンジベネフィットが単純に認められない場合になります。例えば雇用主が外食やクリケットの試合のチケットなど、高額な交際費の控除を請求した時です。一般的に交際費は控除対象から除外されるので、フリンジベネフィットの対象とみなされず、またGST控除も請求できません。

FBTでアクチュアルメソッドを使用している場合、もし提供されたベネフィットが300ドル未満であれば、FBTの対象外となるでしょう。まとめるとこうなります。

●         クライアントに提供されたベネフィットは FBTの対象とはならない(従業員とアソシエイトのみが対象となります)

●         従業員に提供された小額の給付金(300ドル未満の価値のもの)は、一般的に FBTの対象外となります。(少額かつ不規則な場合)

●         エンタ-テイメントについては控除を請求すべきではありませんしそれに伴い、GSTクレジットも通常は利用できません。

50/50メソッドを採用している場合は、食事接待費の50%がFBTの対象となりますので(少額のベネフィットの免除は適用されません)。費用の50%が控除対象となり、50%のGST控除を請求することが可能となります

従業員が自ら負担した金額はフリンジベネフィット税を軽減するが、確定申告では認識されない

従業員が負担した金額が、フリンジベネフィット税を軽減する場合(例えば、従業員が自動車のフリンジベネフィットに対して、自ら一部の代金を負担した場合)その金額を雇用主の確定申告で確認する必要があります。

コロナのワクチン接種と職場

オーストラリアでは2021年2月21日に最初のCOVID-19ワクチンが導入されましたが、それに先立って抗議の波が押し寄せました。この導入に伴い、個人の権利、職場の健康と安全、及び予防接種の実地について等、雇用者にとっては悩ましい問題が発生する事態になっています。

COVID-19ワクチンの実地は段階的に管理され、2021年末までに実施が完了する予定です(参加資格はこちらで確認できます

→ 

https://covid-vaccine.healthdirect.gov.au/eligibility

 オーストラリア政府の新型コロナのワクチン接種方針では

→ 

https://www.health.gov.au/sites/default/files/documents/2020/11/australian-covid-19-vaccination-policy.pdf

「ワクチン接種は強制ではなく、個人が接種しないことを選択する事も出来ます。」

と述べていますが、しかしこれはボーダーを越えて移動する為に必要なワクチン接種の証明の取得を怠った者に対する処罰が行われないと云う意味ではありません。

例えばオーストラリアでは、すでに「No Jab, No Play」の前例もあります(2016年1月1日から医療以外の理由を除いてワクチン接種を拒否する事が出来なくなりました。)

= [ノー・ジャブ・ノー・プレーとは、子どもがワクチン接種を受けていないと子ども手当等の負担が受けられない政策] 詳しくは下記のWebsiteをご参照下さい

https://www.abc.net.au/news/2020-08-20/coronavirus-vaccine-mandatory-rules-anti-vaxxers/12575138

現時点では、オーストラリアには雇用主が従業員に対して新型コロナウィルスの予防接種を義務付けられる法律や公衆衛生命令はありませんが、状況によってはワクチン接種を義務付けられる場合もあります。詳しくは下記をご参照下さい。

雇用主は従業員に予防接種を義務付けることができますか?

おそらくほとんどの雇用主にとっては不可能ですが、フェアワークオンブズマン によると(オーストラリアの職場関連法の順守を規制する機関。詳しくはこちらのWebsiteを参照願います)。

→ 

https://www.fairwork.gov.au/language-help/japanese

状況によっては雇用主が従業員に予防接種を受けるように要求が出来る場合がある、と述べています。それは以下のケースになります

州政府または準州政府が、労働者に予防接種を義務付ける公衆衛生命令を制定した場合

(例えば、危険性の高い職場または産業などに関わっている人達)

協定や契約書で義務付けられている場合

 一部の雇用契約書の中には、従業員にワクチン接種を義務付けているものがありますが、このような条項がある場合は、COVID-19ワクチンにも適用されるかどうかを確認する必要があります。

合法的かつ合理的な指示

 雇用主は従業員にワクチン接種するように指示を出す事は出来ますが、その指示が“合法的かつ合理的かどうか” はケースバイケースになります。例えばその状況は職場環境によって異なります。

✔        国境管理や検疫施設などで働く人へのコロナ感染のリスクがより高くなる場合。

✔        医療関係や高齢者の介護施設等で働いている人で、普段から感染力が高いと思われる患者(COVID-19によりかかり易い人々)等と関わっている場合は、”合理的 “になる可能性が高くなります。

✔        もし従業員が医療以外の理由で、予防接種が必要な職場にも関わらず拒否した場合は標準的な手続きが適用され、雇用者は懲戒処分を行う必要があります(予防接種を拒否した従業員に対し、停職や降格処分を行う特別な規定はありません)

雇用者は予防接種の証明を求める事ができますか?

一般的に雇用主は、“合法的かつ合理的な理由” がある場合は予防接種の証拠を求める事ができますが、

●         医療記録へのアクセスを要求

●         個人の医療情報のデータを保存

などする事は、プライバシーにも影響しかねません(詳細については、Office of the Information Commissionerを参照してください

https://www.oaic.gov.au/privacy/guidance-and-advice/coronavirus-covid-19-vaccinations-understanding-your-privacy-obligations-to-your-staff/

予防接種の履歴は、メディケアにリンクされている場合は、myGovアカウントからアクセス可能です。またExpress Plus Medicareアプリhttps://www.servicesaustralia.gov.au/individuals/services/medicare/express-plus-medicare-mobile-app

を使えば、スマ-トフォン等でこの情報にアクセスすることができます。個人のワクチン接種状況を迅速に確認できるオーストラリアの「ワクチンパスポート」については、まもなく詳細が発表される予定です。 たとえば、イスラエルの「グリーンパス」はシンプルなQRコードを使用していますが、簡単に偽造される恐れがある事がすでに心配されています。

顧客に予防接種を義務付けられますか?

一部の危険性の高い産業では、顧客にワクチン接種を義務付けられるでしょう。もし顧客が接種できない場合には、検疫や検査などの措置を強化する事になります。

 カンタス航空のアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)は、A Current Affair(Channel 9のAustralian TV show)に対し、”国際線を利用するお客様に対しては、航空機に乗る前に予防接種を受けて頂く事をお願い出来るように、利用規約を変更することを検討しています “と述べています。カンタス航空は、国内・国際線に関する情勢を2021年の半ばから後半にかけて発表すると云うことです。

危険性の高い産業に関わる事業主は、従業員や顧客に対して今後予防接種を義務付ける予定がある場合は、まずは従業員とよく話し合い、また産業に詳しいスペシャリストに相談する事が重要です。

何故一部の企業はJobkeeper 給付金を返還するのか?

JobKeeper 給付金(雇用維持)とは政府からの賃補助金を利用できる救済措置の事であり、新型コロナウイルス(COVID-19)による影響で深刻な打撃を受けている事業者へ対し従業員を維持する為に、いくつかの要件を満たした雇用主に Jobkeeper 給与金を受け取れる資格が降ります。

流れとしてはまず雇用主が受け取り、従業員の給料として支払います。従業員側では直接受給の資格はありません。雇用主は2020年3月30日から最長6ヶ月間、対象となる従業員1人当たり1,500ドルの2週間分の支払いを請求することができます。

 名だたる大企業が相次いでJobkeepr の返還をする

 大抵の人なら一度は耳にした事がある大企業3社がJobKeeper 給与金を次々と返還しました。下記で紹介している企業はコロナの厳しい状況下でもこの制度のおかげで危機を乗り越えられたのです。

Supercheap Auto、Rebel、BCF、MacpacブランドのオーナーであるSuper RetailGroup (スーパ-リテ―ルグル-プ)は、2020年12月までの売上高が23%増加した事を発表後、1月に170万ドルのJobKeeper給付金を返還しました。

トヨタは四半期の決済後、1800万ドルを返還すると発表し

https://au.finance.yahoo.com/news/toyota-hands-back-18-million-jobkeeper-233214595.html?guccounter=1&guce_referrer=aHR0cHM6Ly93d3cuZ29vZ2xlLmNvbS8&guce_referrer_sig=AQAAAJCq32Iltm6sT5nrR1m0wYdkw-yGoKiFHqNaf456vkNVFUqalwonchEjCwqDSCV5le5-p3MyLMLmYo_FZczK0q7GiWegLPHg4irIeJnAMoNSbhKjhP4qpMs7xA53d5DzH-B8jd3X_OSPzr6fWDclos0abF_g7D25J6CUuF2dKcln

続いてDomino’sPizzaも79万2,000ドルを返還しました。

当時の規則では、上記の企業はJobKeeper給付金を受給出来る資格こそあれ、返還する義務はありませんでしたが、これに対しトヨタの最高経営責任者(CEO)Matthew Callachor(マシュー・キャラアンカー)は「他の多くの企業と同様に、新型コロナが私達の会社に打撃を及ぼした為、非常に不安定で先の見えない厳しい状況に立たされましたが、オーストラリア全土で働く約1,400人の従業員の雇用確保を政府にサポ-トしてもらう為に、ジョブキーパー制度に助けを求めました。そして最終的にはこの危機を乗り切ることができたので、私達経営陣と取締役会は責任ある企業市民として正しい事をすべきだと思い、Jobkeeper給与金を返還したのです。」 またドミノグループのCEO兼マネージング・ディレクターであるDon Meij(ドンメイジ氏)も「新型コロナ下で非常に不安定な時期に、JobKeeperの支援によって私達は試練を乗り越える事ができ、生き残ることが出来ました。オーストラリアの納税者の方々には心より感謝申し上げます。」と述べています。

ジョブキーパー給与金を受け取り、その後株主への配当や役員にボーナスを支払った企業は、規制当局だけでなく世論からも特に厳しい目で監視されています。

ジョブキーパーの最初の段階では、事業の売り上げが特定の月、あるいは四半期に減少の可能性があるという証拠があれば、企業が実際に収益の減少に苦しんでいた事を証明する必要はありませんでした。

多くの企業にとってパンデミックが発生した当初は、彼らの収益に壊滅的な被害を及ばすという事が最初の認識でした。

全従業員と収益を守る為の対策を講じる事によって、これ以上悪影響を受ける事を未然に防ぐ事が出来ましたが、これによりビジネスが改善したという事実は、ジョブキーパー受給の資格には影響しません。ジョブキーパーの第一段階では、経営状態が改善した場合でも、雇用主は ジョブキーパーの受給を停止する義務はありませんでした。

ATO の発表

上院特別委員会の新型コロナウィルスに関する講演で、ATO副長官のJeremey Hirschhorn氏は、ATOがジョブキーパーの請求の事前発行で約1億8000万ドルを却下したと述べ、また約3億4000万ドルの過払い金が確認され、このうち5,000万ドルは誤りでしたが、支払いが従業員にすでに支払われている場合はもう回収する事は出来ません。

ATOはジョブキーパーの過払い金を返済する必要があると判断した場合、返す金額やその返済方法を連絡すると述べています。行政処分については給与金を得るために、事実を捏造した証拠がない限り、一般的には適用されません。

納税者はATOのジョブキーパーの過払い金の査定に関して異議を唱えることが出来るので、ATOから連絡があった場合は、すぐにご連絡下さい。ATOと連携して代わりに対応させていただきます。