コロナのワクチン接種と職場

オーストラリアでは2021年2月21日に最初のCOVID-19ワクチンが導入されましたが、それに先立って抗議の波が押し寄せました。この導入に伴い、個人の権利、職場の健康と安全、及び予防接種の実地について等、雇用者にとっては悩ましい問題が発生する事態になっています。

COVID-19ワクチンの実地は段階的に管理され、2021年末までに実施が完了する予定です(参加資格はこちらで確認できます

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https://covid-vaccine.healthdirect.gov.au/eligibility

 オーストラリア政府の新型コロナのワクチン接種方針では

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https://www.health.gov.au/sites/default/files/documents/2020/11/australian-covid-19-vaccination-policy.pdf

「ワクチン接種は強制ではなく、個人が接種しないことを選択する事も出来ます。」

と述べていますが、しかしこれはボーダーを越えて移動する為に必要なワクチン接種の証明の取得を怠った者に対する処罰が行われないと云う意味ではありません。

例えばオーストラリアでは、すでに「No Jab, No Play」の前例もあります(2016年1月1日から医療以外の理由を除いてワクチン接種を拒否する事が出来なくなりました。)

= [ノー・ジャブ・ノー・プレーとは、子どもがワクチン接種を受けていないと子ども手当等の負担が受けられない政策] 詳しくは下記のWebsiteをご参照下さい

https://www.abc.net.au/news/2020-08-20/coronavirus-vaccine-mandatory-rules-anti-vaxxers/12575138

現時点では、オーストラリアには雇用主が従業員に対して新型コロナウィルスの予防接種を義務付けられる法律や公衆衛生命令はありませんが、状況によってはワクチン接種を義務付けられる場合もあります。詳しくは下記をご参照下さい。

雇用主は従業員に予防接種を義務付けることができますか?

おそらくほとんどの雇用主にとっては不可能ですが、フェアワークオンブズマン によると(オーストラリアの職場関連法の順守を規制する機関。詳しくはこちらのWebsiteを参照願います)。

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https://www.fairwork.gov.au/language-help/japanese

状況によっては雇用主が従業員に予防接種を受けるように要求が出来る場合がある、と述べています。それは以下のケースになります

州政府または準州政府が、労働者に予防接種を義務付ける公衆衛生命令を制定した場合

(例えば、危険性の高い職場または産業などに関わっている人達)

協定や契約書で義務付けられている場合

 一部の雇用契約書の中には、従業員にワクチン接種を義務付けているものがありますが、このような条項がある場合は、COVID-19ワクチンにも適用されるかどうかを確認する必要があります。

合法的かつ合理的な指示

 雇用主は従業員にワクチン接種するように指示を出す事は出来ますが、その指示が“合法的かつ合理的かどうか” はケースバイケースになります。例えばその状況は職場環境によって異なります。

✔        国境管理や検疫施設などで働く人へのコロナ感染のリスクがより高くなる場合。

✔        医療関係や高齢者の介護施設等で働いている人で、普段から感染力が高いと思われる患者(COVID-19によりかかり易い人々)等と関わっている場合は、”合理的 “になる可能性が高くなります。

✔        もし従業員が医療以外の理由で、予防接種が必要な職場にも関わらず拒否した場合は標準的な手続きが適用され、雇用者は懲戒処分を行う必要があります(予防接種を拒否した従業員に対し、停職や降格処分を行う特別な規定はありません)

雇用者は予防接種の証明を求める事ができますか?

一般的に雇用主は、“合法的かつ合理的な理由” がある場合は予防接種の証拠を求める事ができますが、

●         医療記録へのアクセスを要求

●         個人の医療情報のデータを保存

などする事は、プライバシーにも影響しかねません(詳細については、Office of the Information Commissionerを参照してください

https://www.oaic.gov.au/privacy/guidance-and-advice/coronavirus-covid-19-vaccinations-understanding-your-privacy-obligations-to-your-staff/

予防接種の履歴は、メディケアにリンクされている場合は、myGovアカウントからアクセス可能です。またExpress Plus Medicareアプリhttps://www.servicesaustralia.gov.au/individuals/services/medicare/express-plus-medicare-mobile-app

を使えば、スマ-トフォン等でこの情報にアクセスすることができます。個人のワクチン接種状況を迅速に確認できるオーストラリアの「ワクチンパスポート」については、まもなく詳細が発表される予定です。 たとえば、イスラエルの「グリーンパス」はシンプルなQRコードを使用していますが、簡単に偽造される恐れがある事がすでに心配されています。

顧客に予防接種を義務付けられますか?

一部の危険性の高い産業では、顧客にワクチン接種を義務付けられるでしょう。もし顧客が接種できない場合には、検疫や検査などの措置を強化する事になります。

 カンタス航空のアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)は、A Current Affair(Channel 9のAustralian TV show)に対し、”国際線を利用するお客様に対しては、航空機に乗る前に予防接種を受けて頂く事をお願い出来るように、利用規約を変更することを検討しています “と述べています。カンタス航空は、国内・国際線に関する情勢を2021年の半ばから後半にかけて発表すると云うことです。

危険性の高い産業に関わる事業主は、従業員や顧客に対して今後予防接種を義務付ける予定がある場合は、まずは従業員とよく話し合い、また産業に詳しいスペシャリストに相談する事が重要です。

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