職人(トレーディーズ*)のための国家免許の承認

大工、電気技師、配管工、建築士、不動産業者、警備員など、自国の州や地域で職業免許を取得している労働者が、他の州や地域で同じ仕事をしようとする場合、必要な免許を取得していると自動的にみなされるようになります。

連邦政府、州政府、準州政府は、連邦政府が実施する相互承認制度に合意しました。途切れる事のない相互承認制度を可能にする公開草案が先月発表され、2021年7月1日から開始される予定です。

労働者は、追加のライセンス料を支払ったり、追加のライセンスを申請したりする必要はありません。

別の州や地域で働く労働者は、現地の法律や規制(脆弱な人々=未成年者、高齢者、障害者の性格テストを含む)を遵守する必要があり、場合によっては、自国で働く意思があることを規制当局に通知する必要があります。州は相互承認による登録や、ライセンスの種類を拒否する事が出来ます。

懲戒処分を受けている者、あるいは民事訴訟、刑事訴訟の結果として登録に条件が付されている者は、自動的な相互承認からは除外されます。

また登録が取り消された、あるいは停止された登録や懲戒処分に関する情報、および登録の取り消しや停止を記録するための情報は、共有されます。

*トレーディーズ(Tradies) – オーストラリアのスラングで職人さん、例えばCarpenters(大工)、Plumbers(配管工)、Electricians(電気工)、Cabinetmakers(家具職人)等の職業についている人々を(Tradies)と呼びます。

JobMaker、雇用促進に失敗

政府の「JobMaker」計画は、約15,000社の企業が登録したにもかかわらず、2021年2月1日の登録開始以来、わずか609件の新規雇用を生み出したに過ぎませんでした。

雇用クレジットは、2020年10月7日から2021年10月6日までに採用された雇用が対象で、16歳から29歳までの新入社員には週200ドル、30歳から35歳までの新入社員には週100ドルが支給されます。支払いは、従業員の雇用日から12ヶ月間です。現在までに、このクレジットを利用している雇用主の約70%が零細企業で、さらに20%が中小企業の雇用主です。

ジョブキーパーとは異なり、JobMakerの支払いは雇用主が保持し、従業員には渡されません。

普及率が低い理由の一つは、企業での一般的な認知度の低さに加えて、報酬に対する制度の複雑さにあると考えられています。

雇用者と従業員の両方のレベルにおいて、いくつかのテストとコンプライアンス要件があります。これには、企業の総従業員数が基準人数以上であることを要求する「アディショナル・テスト」が含まれます。 つまり、対象となる従業員を雇用し、既存の従業員が退職した場合、総従業員数の増加がないため、給付は相殺されます。

また、JobMakerは、雇用主が失業者の中から従業員を採用する場合にのみ適用されます。つまり、雇用される前の3ヶ月間に、少なくとも1ヶ月間、JobSeeker Payment、Youth Allowance、Parenting Paymentのいずれかを受給していなければなりません。

ジョブキーパーが終了したことで、より多くの企業がこの計画を利用し始める可能性があります。ジョブキーパーを利用していた企業は、JobMakerを同時に利用することはできません。

財務大臣は、40億ドルの計画予算のうち80万ドルのみを配布し、次の連邦予算で政府がジョブメーカープログラムの設計を見直すことを表明しました。

オーストラリアの失業率は、2021年2月に5.8%に低下しました(12ヶ月前より0.8%上昇)。当月は7万人弱の雇用が生み出され、不完全雇用は8.5%に上昇しました。

ATOに返還されたJobKeeper/ジョブキーパー給付金の税務処理について

ATOは、政府に返還されたジョブキーパー給付金の税務上の取り扱いを明確にしました。これは、Super Retail Group、Dominos Pizza、Toyotaの3社が、例外的な業績を報告した後に合計で2,000万ドル以上のジョブキーパーの支払いを返還したことを受けたものです。

この返還の詳細については弊社の“何故一部の企業はJobkeeper給付金を返還するのか?”のコラム記事をご覧下さい。

ジョブキーパー給付金を受ける資格があるにもかかわらず、企業が給付金を返還した場合、ATOは以下のように述べています。

  •   政府に返還されたジョブキーパーの給付金は、課税所得に含まれる。
  • 返還されたジョブキーパー給付金は、ビジネスの目的を達成する為のものであれば、限られた状況下では控除可能である。例えば支払いを返還し、メディアに大々的に取り上げられた事によってそれが事業の評判を高めたり、事業の宣伝をするのに結果的に優位になった等、つまり返還により事業活動の悪化を防ぐことができる場合などです。

つまり、もし企業が自主的にジョブキーパーの支払いを返還するのであれば、その決定を公表した方が良いということです。もし返済について誰も知らないのであれば、それは控除の対象にはなりません。もし、あなたの会社がジョブキーパーの支払い給付金を受ける権利があるにもかかわらず、返還をすることを決めた場合、返済の扱いが異なり特別な支払い参照番号が必要となるため、ATOと特別な取り決めをする必要があります。

なお、あなたのビジネスと従業員がジョブキーパーの第一次給付金を受ける資格を持っていた場合、ATOに提出した見積もりよりも取引状況が良かった場合は、お金を返す義務はありません。

ATOはプロフェッショナル・サービス・ファームの利益をターゲットにしています。

オーストラリア税務局(ATO)は、多くのプロフェッショナル・サービス・ファームがどのように構成されているか(具体的には弁護士、建築家、医療機関、エンジニアなどの専門職が信託、会社、一任信託(discretionary trust)のパートナーシップを通じて運営されています)、これらの事業所から得られる利益がどのように課税されているかについて、以前から懸念を抱いていました。

先月ATOから発表された新しいドラフトガイダンス(PCG 2021/D2)では、収入を転用/迂回させることを目的とした構造に対して、強い姿勢を示しています。何故なら、この構造を構築する事でこれらの専門家が彼らの仕事に対して直接受け取る収入はほとんどなく、課税所得を減らすことが出来るからです。

このような構造が所得を転回/迂回させて、専門職のための税制優遇を生み出す為に行われている場合、Part IVAが適用される可能性があります。Part IVAは、納税者が税務上の利益を得るために、巧妙な手口で取り決めを行った場合に、コミッショナーがその納税者が受け取った税務上の利益を取り除くことができる整合性のあるルールです

Part IVAは、専門家が事業に提供するサービスに対して適切な報酬を得られない、または行ったサービスの価値に対して大幅に下回る報酬を受け取る為に設計された計画に適用される可能性があります。

プロフェッショナル・サービスに関するガイダンス案

2021年7月1日から適用されるこのドラフトガイダンスでは、一連のテストを行いリスクスコアを作成します。このリスクスコアは、実務者をグリーン、アンバー、レッドのいずれかのリスクゾーンに分類するために使用され、ATOが事業者自身と事業を詳細に調査すべきかどうかを決定するものです。

グリーンゾーンの人は、ATOがコンプライアンスを適用するリスクが低いと言えます。一方、レッドゾーンに対しては優先的に審査が開始され、直接監査に移行する可能性があります。

リスク評価のフレームワークは、会社がまず2つのゲートウェイ・テストを満たす場合にのみ適用されます。

ゲートウェイ1:事業構造や利益の分配方法、特に報酬の支払い方法に商業上の合理性があるかどうかを検討します。レッドフラグは、商業的な目的を達成するために、必要以上に複雑な取り決めをしている、例えば利益を上げているのにも関わらず、税務上の損失を計上するなど、税務上の結果が商業的企業の目的と矛盾している場合を指します。

ゲートウェイ2 – 高リスクの特徴があるかどうかの評価を必要とします。潜在的にリスクの高い特徴としては、非アームズ・レングス取引(Non-Arm’s length Income(NALI))に関連するファイナンス・アレンジメント、パートナーシップの所得が既存のガイドラインと一致しない方法で割り当てられている場合、議決権を持たない人が、複数のクラスの株式やユニットを保有している場合などが挙げられます。

注;アームズ・レングスルールとは

取引等において、通常と異なる条件(当事者間の独立性、価格、または条件が平等ではない等)で取引をする事を禁止し、お互いの利益を尊重し、第三者の利益を損なわないようにしているル-ルの事です。

ゲートウェイテストに合格すると、ATOのリスク評価要素に照らし合わせて、自分のリスクレベルを自己評価することができます。考慮すべき要素は3つあります

  1.  会社(およびサービス・エンティティーなど)からのプロフェショナルの利益のシェアと、プロフェショナルとその関係者が得た会社の利益のシェア。
  1.  プロフェショナルとその関係者が会社から受け取る所得に対する実効税率の合計
  1. 会社に提供されたサービスの商業的ベンチマークに占めるプロフェショナルの報酬の割合

これらの要素の結果である「スコア」が、リスクゾーンを決定します。以前はリスクが低いと考えられていたアレンジメントも、現在ではより高いリスクゾーンに分類されることがあります。

プロフェッショナル・サービス・ファームの場合、リスクレベルを評価することが重要であり、これは各専門家について個別に行う必要があります。アンバ-やレッドのゾーンに分類されているが、低リスクに分類されたい事業者は低リスクゾーンに移行するために何を変えるべきかを考え始める必要があります。

キャピタルゲインの認識漏れ、スーパーアニュエーションシステムの悪用、申告書の未提出や提出遅延など、他のコンプライアンス上に問題がある場合は、グリーンゾーンのリスク評価は適用されません。

2021年7月1日のスーパーアニュエーションの変更点

2021年7月1日からの変更点は

  • スーパーアニュエーションに拠出できる金額
  • 退職期のスーパーアニュエーション口座に預けられる金額

に影響します。

一般的にスーパーアニュエーションは

  • 積み立て口座(スーパーを構築しているとき)
  •  退職口座(perseveration age=年金受給資格年齢と一定の条件を満たした時にスーパーを引き出すことができるとき)あるいは
  •  Transition To Retirement =TTR(年金受給資格年齢に達し、労働時間が短縮され、スーパーアニュエーションの一部を年金として受け取るとき)

のいずれかになります。

注;Transition To Retirement =TTRとは

退職への移行に関する新しいルールでは、年金受給資格年齢に達している場合、収入を減らすことなく労働時間を減らすことが出来るようになりました。これは、パートタイムの収入にスーパーのセービングからの定期的な「income stream/収入源」を上乗せすることで可能となります。

また、給料が減って生活費が必要になった場合、毎年スーパーアニュエーション口座から残高の4~10%を上限に引き出すことができます。これまでは、65歳を迎えるか退職をしないとスーパーにアクセスできませんでした。

メリットはもし60歳を過ぎていれば、仕事を続けながらスーパー・アニュエーションを引き出しても、それに税金はかからないので、節税になります

詳細は下記のウェブサイトをご参照下さい→

https://www.ato.gov.au/Individuals/Working/Working-as-an-employee/Leaving-the-workforce/Transition-to-retirement/

(Transition to retirement)

https://moneysmart.gov.au/retirement-income/transition-to-retirement

(Transition to retirement Access your super while you keep working)

積み立て口座から非課税退職金口座に移すことができる金額は、Transfer Balance Cap /トランスファーバランスキャップ(TBC)によって制限されています。2021年7月1日からは、現在の160万ドルのジェネラルTBCが170万ドルにインデックス化され、インデックス化された後はすべての個人に対し、単一のキャップは適用されません(各人は160万ドルから170万ドルの間で個別のTBCを持つことになります)。

注;TBC( Transfer Balance Cap)とは

定年退職を迎えるにあたり、個人がスーパーアニュエーションを利用する際に適用される複雑なルールを理解しておく事は役に立つでしょう。TBCはその一例です。

オーストラリア税務局(ATO)によるとTBCは、個人が貯めてきたスーパーアニュエーション口座から、非課税の退職期年金口座(アカウントベース年金など)に移転できる金額の上限の事です。個人がたとえ複数の年金口座を所持していても、1つの上限が適用されます。TBCの上限は、投資収益に税金がかからない退職段階の年金に振替できる年金の合計額を制限します。

詳しくは下記のウェブサイトをご参照下さい→

https://www.ato.gov.au/individuals/super/withdrawing-and-using-your-super/transfer-balance-cap/

(Transfer Balance Cap)

https://www.canstar.com.au/superannuation/transfer-balance-cap/

(What is the transfer balance cap?)

https://www.bt.com.au/professional/knowledge-centre/client-strategies/retirement-strategies/transfer-balance-cap.html#:~:text=The%20transfer%20balance%20cap%20limits,no%20tax%20on%20investment%20earnings.&text=For%20clients%20wanting%20to%20hold,to%20remain%20in%20accumulation%20phase.

(The transfer balance cap)

注;インデクセーションとは

政府等があらかじめ定められたシステムによって、賃金・金利・価格・年金などを物価の上昇に合わせて調整する制度

インデックス化により、以下の他のスーパーアニュエーションの上限や制限も変更されます。

  • Non-Concessional Contributions /ノンコンセッショナルコントリビュ-ション税引き後の所得からの拠出金) 
  • Concessional Contribution /コンセッショナルコントリビュ-ション(スーパーギャランティー、サラリーサクリファイスによる積み立て、または自分で拠出して税控除を申請する拠出など、税引き前の所得からの拠出)
  • Co-contributions/共同拠出金(低・中所得者の個人的な拠出金に、政府が500ドルまで上乗せして拠出する)および
  • 配偶者のために拠出した掛金で、税額控除の対象となるもの。

注;Concessional ContributionとNon-Concessional Contributionsについて

スーパーへ積み立てをするのには上限があります

税金のかかり方が積み立ての仕方により違ってきます

✧     Concessional Contribution は、自分の収入や会社の拠出金から給与を犠牲にすること(サラリーサクリファイス)、その上限は$25,000となっています。これは税引き前積み立てになります。

✧     自分の貯金などから積み立てる場合はNon-Concessional Contributionと呼ばれており、その上限は$150,000です。これは税引き後積み立てになります。なので、税金はかかりません

トランスファーバランスキャップの影響は?          

-スーパーアニュエーションを蓄積している場合 

2021年7月1日以降、より多くのスーパーアニュエーションを非課税で利用できるようになるため、スーパーアニュエーションを積み立て(積み立て段階)、または引き出しをしていない場合*TBCのインデックス化は有利になります。

注;* COVID 19の救済措置による引き出しは含まれていません。

何故なら、2021年7月1日以降にスーパーアニュエーションの取得を開始した場合、例えば、条件を満たしてリリ-ス及び退職した場合、移行残高の上限は170万ドルになります。

基本的には、トランスファー・バランスアカウントを一度も持ったことがない人は、フルインデックス化が可能となります。

 低・中所得者がco-contribution/政府共同拠出金を申請する場合、上限額はインデクセーションに合わせて増加し、170万ドルとなります。

同様に、配偶者にスーパーアニュエーションを拠出し、タックス・オフセット(減税)を申請する場合、上限額はインデクセーションに合わせて170万ドルになります。つまり、配偶者のTBCが170万ドル以下であれば、配偶者のスーパーアニュエーションに拠出し、タックス・オフセットを申請することができます

スーパーアニュエーションの取得を開始された方

2021年7月1日以前にスーパーアニュエーションの取得を開始し、すでにトランスファー・バランス・アカウントにクレジットが追加されている場合は、2017年7月1日から2021年6月30日までのトランスファー・バランス・アカウントの残高に応じて、あなたのTBCは160万ドルから170万ドルになります。

この期間中のいずれかの時点で、あなたの口座が160万ドル以上に達した場合、2017年7月1日以降のTBCは160万ドルのままとなります。もし口座の過去の最高クレジット額が100万ドルから160万ドルの間であった場合、あなたのトランスファー・バランス・アカウントが到達した過去最高のクレジット残高に基づいて比例的にインデックス化されます。 

つまり、ATOはあなたのトランスファー・バランス・アカウントのこれまでの最高額を調べ、その後、未使用キャップ/上限額にインデクセーションを適用します。例えば、2018年10月1日に120万ドル相当の退職期収入源を開始し、これが2021年7月1日以前の口座の最高額であった場合、未使用上限額は40万ドルとなります。

この未使用のキャップ/上限額は、未使用のキャップパーセンテージを算出するために使用されます($400,000÷$1.6m =25%)。この未使用のキャップパーセンテージを$100,000に適用し($100,000×25%=$25,000)、新たなTBCである$1,625,000(1,600,000+$25,000)が算出されます。

なお、インデクセーションは、160万ドルのTBCと2017年7月1日から2021年6月30日までの間のいずれかの時点における、顧客のアカウントの最高点との差にのみ適用され、2021年6月30日時点の顧客のアカウントのバリューには適用されません

つまり、2018年10月1日以降に追加のコントリビュ-ションを行い、例えば口座が144万ドルに増加した場合、未使用のcap/上限である16万ドル(40万ドルではなく)にインデクセーションが適用され、2021年7月1日のTBCは161万ドルとなります。

インデクセーションは、既存の子供の死亡給付金受給者には影響しません。2021年7月1日以降に開始される子供の死亡給付金の収入源は、

  • 親がトランスファー・バランス口座を持っていなかった場合は増額分
  • 親がトランスファー・バランス口座を持っていた場合はその割合分を受け取ることができます。

確定給付金の上限額が設定されている収入源から収入を得ている方で、60歳以上の方、またはその収入源が死亡時に60歳以上であった死亡給付金のものである場合、確定給付金の上限額はほとんどの方が10万6,250ドルに引き上げられます。これにより、顧客のファンドが収入源から差し引く金額が変わる可能性があります。

スーパーに拠出できる金額が増えます

インデックス化により、2021年7月1日からConcessional/コンセッショナルおよびnon-concessional/ノンコンセッショナルの拠出上限額が引き上げられます

これらの上限額は、週平均の通常収入(Average Weekly Ordinary Time Earnings =AWOTE)によってインデックス化されます。下記の表をご参考下さい。

CapCurrent capCap from 1 July 2021
Concessional contributions cap$25,000$27,500
Non-concessional contributions cap$100,000$110,000

ブリングフォワード・ルール

ブリングフォワード・ルールでは、1年間で最大3年分の非課税拠出金を拠出することができます。つまり、2021年7月1日以降は1年間で最大33万ドルをスーパーアニュエーションに拠出することができます。ブリングフォワード・ルールを利用できるのは、拠出するファイナンシャルイヤ-の7月1日時点で64歳以下であり、その拠出によってスーパーアニュエーションの合計残高がトランスファー・バランスアカウントの上限を超えて増加しない場合になります。

注;ブリングフォワード・ルールとは

ATOによって導入されたもので、65歳未満の個人がスーパーアニュエーションにnon-concessional/ノン・コンセッショナルコントリビュ-ションまたは税引き後(after-tax contributions)のスーパーへの拠出を行うことを認めるものです。

このルールでは、1つの所得年度内に、3年分の拠出金に相当する金額まで拠出することができます。つまり、現在のコントリビュ-ションの年間上限額が10万ドルの場合、会計年度に30万ドルまで余分な税金を払うことなく拠出できるということです。

詳細は下記のウェブサイトをご参照下さい→

https://www.ampcapital.com/au/en/insights-hub/articles/2021/march/indexation-allows-for-higher-super-contributions-from-1-july-2021#:~:text=Members%20that%20are%20eligible%20to,in%20the%20previous%20financial%20year.

(Indexation allows for higher super contributions from 1 July, 2021)

https://www.ratecity.com.au/superannuation/articles/bring-forward-rule-superannuation

(What is the bring-forward rule in superannuation?)

前年度にブリングフォワード・ルールを利用していた場合、ノン・コンセッショナルキャップの上限は変わりません。新しいcap/上限を利用するには、3年間の有効期限が切れるまで待つ必要があります。

NSW州政府によるノーザンビーチの中小企業向けハードシップ助成金

NSW州政府は2021年4月下旬より、ノーザンビーチ中小企業支援のためのオンライン申請を開始します。

始めに

シドニーのノーザンビーチに所在する、中小企業経営者または非営利団体の方で、「2020年ノーザンビーチ公衆衛生命令の影響を受けた方は、$3,000または$5,000の中小企業ハードシップ助成金を1回限り、受け取ることができます。

注; NSW州政府は、ノーザンビーチ市でのクラスター(集団感染)が発生した事を受けて、2020年12月からノーザンビーチ地方自治体エリア(Local Government Area =LGA)に向けて公衆衛生命令を出しました。

ノーザンビーチの公衆衛生令により、移動や集会、そして一部のビジネスの営業が制限された事で多くの企業が影響を受けました。この助成金は、企業がCOVID-19/新型コロナウィルスによるダメ-ジから企業を回復させ、事業の再構築を支援する事を目的としています。

助成金は以下のものに使用することができます。

  • 光熱費や家賃などの事業を運営するのに不可欠な費用に
  • 事業継続計画を支援するための財務、法律、その他のアドバイスに
  • マーケティングおよびコミュニケーション活動に
  • その他、事業の運営を支援するための活動に

注;すでに他の政府支援金がある場合は(例えば、ジョブキーパーの対象となる労働者の賃金など)この助成金を利用して、労働者の賃金などを支払うことは出来ません。

募集は2021年4月下旬より開始されます。

対象者となるのは? 

助成金を受け取る資格があるのは、以下の条件を満たす中小企業と非営利団体です。

  • ノーザンビーチ地方自治区(Local Government Area =LGA)に登録されたオーストラリア企業番号(Australian Business Number =ABN)を持つ、または2020年12月1日時点でノーザンビーチ地方自治区内に物理的に位置し、主に事業を行っていることを証明できること。
  • 従業員を誰も雇用していない状態か、フルタイムで20人未満の労働者を雇用している。
  • 2020年7月1日時点で、オーストラリアでの賃金総額がNSW政府の2020-21年度給与税の基準額である120万ドルを下回っていること
  •  2020年3月1日時点で年間売上高が7万5,000ドルを超えていること
  • ノーザンビーチ公衆衛生令期間中に、避けられない事業コストが発生し、それに対して政府の支援が得られない場合。

$3,000の助成金を受けるためには、中小企業や非営利団体は以下の条件も満たす必要があります。

  • ノーザンビーチ公衆衛生命令により、2020年12月19日から2021年2月10日までの最低2週間の間に、前年同期と比較して売上高が少なくとも30%減少したこと

$5,000の助成金を受けるには、中小企業と非営利団体は以下の条件を満たす必要があります。

  • ノーザンビーチ公衆衛生命令により、2020年12月19日から2021年2月10日までの最低2週間の間に、前年同期と比較して売上高が少なくとも50%減少したこと 

注意事項

  • 対象となる企業は、$3,000または $5,000の助成金のみを受け取ることができ、両方を受け取ることはできません。
  • COVID-19中小企業支援助成金、またはCOVID-19中小企業復興助成金を受けた企業は、この助成金に応募することができます。
  • 1年前に事業を行っていなかった場合や、干ばつや山火事の影響を受けて前年の売上が通常、または平均的な売上を出せなかった場合でも、本助成金の対象となる場合があります。詳細については、サービスNSWにお問い合わせください。

申請に必要なもの

  • MyService NSWアカウント
  • 身分証明書
  • 有効なABN/ACN番号
  • 助成金受給のためのビジネスバンクの詳細
  • 関連するBusiness Activity Statement(BAS)/事業報告書

オーストラリア税務局にBASを提出していない中小企業で、その他の条件をすべて満たしている場合は、サービスNSWに連絡して相談してください。このような場合には、年間売上高が75,000ドルであることを証明するものとして、所得税申告書の提出で認められることがあります。

さらに、2020年12月19日から2021年2月10日までの売上高が、前年同期比で少なくとも30%または50%減少していることなど、適格基準を満たしていることを示す申告書を提出する必要があります。 

物理的にはノーザンビーチ地方自治区(Local Government Area =LGA)内で事業を展開しているが、ABNが地方自治区外で登録されている場合は、料金通知書やリース契約書など、適格な事業所や活動を示す証拠を提出する必要があります。

監査要件

サービスNSWは、助成金を申請出来る適格性の判断を裏付けるために、以下の書類の組み合わせを要求します。 

  • 過去のBusiness Activity Statement
  •  所得税申告書
  • プロフィット・アンド・ロス・ステートメント/損益計算書
  • 会計ソフトから抜粋したもの
  • 購入した商品の領収書や請求書

助成金受領に成功した方は将来的に監査を受ける可能性があるため、申請の際に信頼したすべての証拠書類を最低5年間保管する必要があります。

また監査の一環として、助成金の利用規約に基づいて資金を使用したことを示す証拠(公式の領収書など)の提出を求められる場合があります。 

意図的に虚偽、または誤解を招くような情報を提供することは、犯罪行為となります。この問題はニューサウスウェールズ州警察に照会され、刑事罰が適用される場合があります。申請資格のない資金を受け取った申請者は、NSW州政府による回収の対象となる場合があります。

 身分証明書

 身分を証明する書類が以下の内2つ必要となります。

  • オーストラリアの運転免許証
  • メディケアカード
  • オーストラリアのパスポート
  • オーストラリアの出生証明書
  • オーストラリアのトラベルビザ
  • オーストラリアの市民権証明書
  • 親族によるオーストラリアの登録証明書
  • オーストラリアのイミカード

申請方法

2021年4月下旬よりオンライン申請が開始されます。

中小企業向けの料金/手数料のリべ-ト(払い戻し)

中小企業向けの料金/手数料のリべ-ト(払い戻し)

ニューサウスウェールズ州における個人事業主(sole trader)中小企業のオーナー、または非営利団体の方は、1500ドルの中小企業向けの料金/手数料のリべ-ト(払い戻し)を受けることができます。

このリベートは、企業がCOVID-19/新型コロナウィルスによるダメ-ジから回復するのを支援し、企業におけるランニングコストを削減する事でビジネスの成長を促すものです。

申請者はリベートを申請することにより、申請書がニューサウスウェールズ州政府またはその代表者による監査の対象となることに同意します。

申請書の情報が虚偽、または誤解を招くものである事が判明した場合、サービスNSWは支払額の回収を求めることがあります。この事実はNSW警察に照会され、刑事罰が適用される場合があります。

リベートの使用方法 

リベートはデジタル・クレジットの形で提供され、対象となる企業はニューサウスウェールズ州および地方自治体の適格な手数料、および料金の費用を相殺する為に利用することができます

これには以下のものが含まれますが、制限は特にありません

  • 食品局のライセンス (food authority licences)
  • 酒類販売許可証 (liquor licences)
  • 熟練工のライセンス (tradesperson licences)
  • イベント料金 (event fees)
  • カウンシルレート(市税)(council rates)

企業は、サービス NSWのウェブサイトを通じて、以下の基準に沿って適格性を証明し、リベートの申請を行い1500ドル相当のデジタルクレジットが授与されます。

企業は、該当するライセンス料および料金の支払い証明を提出することにより、“Service NSW Business Profileアカウント”(サービスNSWビジネスプロファイルアカウント)を通じてリベートを請求することができます。

請求は対象となる企業を代表して、行動する権限を与えられた正当な申請者によって行われなければなりません。

評価および報告

 リベートの目的は、企業がCOVID-19/新型コロナウィルスのパンデミックの影響から回復するのを支援し、起業や経営にかかるコストを削減することで、企業の成長を促すことである。 

対象となる企業、または非営利団体はリベートの初回登録を一度だけ行う必要がありますが、1,500ドルの満額に達するまで複数回申請することができます。

利用可能な資金

 対象となる企業および非営利団体は1回限り、1500ドル相当のリベートを申請することが出来ますが、1,500ドルの満額に達するまで何度でも請求可能です

 このリベートは2021年3月1日以降に支払い期限を迎え、支払い済みの請求書の対象となる料金と手数料のみに使用できます。

しかし以下の目的の為には使用できません。

  • 望ましくない行動を抑制、矯正する事を主な目的とした罰金や罰則及び料金や手数料には使用できません。
  •  連邦政府の料金、政府施設の賃貸料、税金には使用できません。 

除外基準は以下の通りです。 

  • 罰金および罰則
  • 望ましくない行動を抑制、矯正する事を主な目的として設定されている手数料および料金
  • 連邦政府の請求
  • 政府施設の賃貸料
  • NSWおよび連邦政府の税金

リベートは2022年6月30日まで利用可能です。

対象者となるのは?

このリベートの対象となるのは、中小企業(非雇用のsole traders/個人事業主を含む)および非営利団体です。 

対象となる企業

小規模企業(雇用していない個人事業主を含む)および非営利団体は、以下の条件を満たす場合、政府の料金や手数料に対して1500ドル相当のリベートを受けることができます。 

  • オーストラリアでの賃金総額が、ニューサウスウェールズ州政府の2020-21年度の給与課税基準額である120万ドル以下である。
  • オーストラリアン・ビジネス・ナンバー(Australian Business Number =ABN)を登録していること、またはニューサウスウェールズ州内で物理的に事業所を持ち営業している事。
  • GSTに登録していること
  • 年間75,000ドル以上の総売上高がある。

注:1つのABNに対して1500ドルのリベートは1回のみとなります。非営利団体は、GSTの対象ではありませんが、年間75,000ドル以上の総売上高を証明する必要があります。

 適格性を裏付ける証拠

リベートを申請するには、以下のものが必要となります。

  • マイサービスNSWアカウント
  • 身分証明書
  • 有効なABN/ACN
  • 支払いのためのビジネスバンクの詳細
  • 非営利団体の場合は、年間75,000ドル以上の総売上高を証明する会計士の手紙など、その他の証拠

リベートの申請および請求時の度に関係書類を提出する必要があります。

請求の際には、対象となる料金の支払いを証明する請求書や領収書が必要となります。

身分証明書

身分を証明する書類が2つ必要となります。以下の身分証が使用できます。

  • オーストラリアの運転免許証
  • メディケアカード
  • オーストラリアのパスポート
  • オーストラリアの出生証明書
  • オーストラリアのトラベルビザ
  • オーストラリアの市民権証明書
  • 親族によるオーストラリアの登録証明書
  • オーストラリアのImmiCard.  

応募方法

2021年4月1日よりオンライン申請が開始されました。

 リンクはこちらになります。

新型コロナウィルスが流行した事による企業間の生産性のギャップ

ベイン・アンド・カンパニー(Bain & Co)のハーバード・ビジネス・レビューに掲載された最近の記事によると、パンデミックの影響で業績の高い企業とそうでない企業の間でプロダクティビティ/生産性の差が広がっている事が述べられています。企業の中にはコロナ下でも、最新のテクノロジーを駆使して効果的かつ効率的に驚くほどの生産性の維持が出来た会社もありますが、ほとんどの企業は12ヶ月前と比べて生産性が低下しています。成功している企業とそれ以外の企業の間の目立った違いとしては、「彼らは新型コロナが発生する前にどれだけ才能やエネルギーの管理に貴重な時間をうまく費やせたか、という事に尽きる」と述べています。

アトラシアンのデータサイエンティスト達は(Atlassian data scientists)、パンデミック期間中のソフトウェアユーザ-の就業の集中力と時間の長さについても調査を行いました。一般的には仕事と家庭生活をうまく切り離すことができず、またロックダウン中は仕事の開始と終了が曖昧になっていた為、労働時間が長くなっていることが明らかになりました。興味深いことに、オーストラリアの労働者の平均的な一日長さは、パンデミック前の海外の労働者に比べて最大1時間も短く、オーストラリアの平均労働時間は約6.8時間であるのに対し、米国は7.2時間程でした。

しかし労働時間が長いからと云って、それが直接生産性に繋がる訳ではありません。アトラシアンの調査によると、1日の労働時間の長くなると、仕事の集中力が早い時間と遅い時間に増える傾向があり、「通常の」時間帯の集中力は一般的に低下することがわかっています。

では、生産性はどうやって測ればいいのか?

ベイン・アンド・カンパニーはこのように提案しています。

●         最良の企業は無駄な時間を最小限に抑え、従業員の集中力を維持出来るよう心がけていますが、それ以外の企業はそれを実地していません。パンデミックが発生する前にも、チームメンバーや顧客と効果的にコラボレーションが出来ていた企業が最も優れている企業と云えるでしょう。コラボレーションが不十分で非効率的な仕事のやり方は、生産性を低下させるだけです。

●         最良の企業は、仕事のパターンを変え、それぞれの違う才能を生み出す事でうまく機能しています(彼らは、それぞれの希少な才能を獲得し、それを育成、チーム化し、上手くリードしています)。

●         最良の企業は、従業員をいかにやる気を起こさせ、仕事に従事させる方法を知っています。研究によると、熱心で貢献的な従業員は、単に現状に満足しているだけの従業員よりも45%も生産性が高いと言われています。

どの企業も比べると生産性の格差は常に存在し、パンデミックは、単に格差を引き立たせただけに過ぎない、と述べています。

FBT 2021. 税金と従業員の福利厚生

フリンジベネフィット税(FBT)は、その複雑さと多くの事務処理が必要な事から、オーストラリアで最も嫌われている税金の1つです。新型コロナウィルスのロックダウンにより、多くの作業パターン等が変更され、さらに複雑な行程が追加されました。

 フリンジベネフィットとは、企業が従業員や“アソシエイト”(配偶者や子供、友人など、従業員と何らかの関係のある人の事)に対しての「支払い」の事ですが、給料や賃金とは異なります。例をあげると

●         会社側からビジネスで使用する社用車や駐車場を従業員に提供

●         会社主催のクリスマスパーティーを催す等(従業員は掛かった費用は支払う義務はない)

●         割引料金でビジネスの商品やサービスを会社から提供して貰える

つまり日本で云うところの福利厚生にあたります。

もし事業がまだ FBT に登録されていない場合、フリンジベネフィットが提供されていたかどうかを理解する必要があります。何故なら一般的に、ATOはフリンジベネフィットに登録していない雇用主とデータにミスマッチがあった場合には、綿密に調査するからです。

FBT課税事業年度は3月31日になります。主要な問題点とオーストラリア税務局(ATO)のホットスポットを見ていきましょう。

FBTの対象外となるものは何ですか?

特定の福利厚生は、主に従業員の雇用の為に提供されている場合は、FBT規則から除外されます。

●         携帯用電子機器(例:ラップトップ、ipad、プリンター、GPSなど)。大企業は、従業員1人につき1台の携帯用電子機器の購入または払い戻しに制限されています。

●         ノートパソコン、タブレット、仕事の書類や日記など、仕事で使用する為にこれらの機器を持ち運ぶためのハンドバッグ、ブリーフケース、小型のかばん。

もしこれらのバッグをプライベートと仕事の両方で使用している場合は、その用途に応じて振り分けが必要となり、FBTが全て免除されるわけではないと云う事を念頭に置いて下さい。

例えばグッチのバッグにたまにipadを入れて持ち運ぶケースには、ATOはフリンジベネフィット税を免除する事はないでしょう。(グッチは通常、会社では仕事の為に支給はされないでしょうし、ファッションとしてよりプライベートの用途が強いうえに、たまにipadを入れて持ち運んだとしても、仕事の要素としては見られないからです)

●         Tools of trade.

また、従業員に提供されたアイテムやサービスが300ドル未満で、かつ一度限りのものであれば、一般的にはマイナーベネフィットに分類され、フリンジベネフィット税が免除されます

新型コロナとフリンジベネフィット税

ATOは、新型コロナが勤務形態や勤務条件に影響を与えた為、今年はFBTコンプライアンスへのアプローチ方法が変更されました。詳細は以下の通りになります。

航空券や宿泊施設などの緊急援助

 従業員が新型コロナによる悪影響を受ける危険性があるため、従業員を緊急にサポ-トする為の緊急援助費用は、一般的にはFBTの対象とはなりません。

これには以下が含まれます。

●         従業員の転居に伴う費用(オーストラリアへの帰国のための航空券の支払いを含む)

●         従業員が制限(国内、州間または州内)のために移動ができない場合に、発生する食費および一時的な宿泊費。

●         従業員が自主隔離または強制隔離をする為に提供される福利厚生。

●         従業員の交通費(レンタカーや一時的な宿泊施設への交通費を含む)

フライ・イン・フライ・アウトの労働者の場合は、彼らが国境制限や渡航制限のために帰国できなかった時に、一時的な宿泊施設や食事などを提供する事が含まれます。

(FIFO / Fly in fly out=オーストラリアの大規模な鉱山地帯等で従業員を都心から離れた遠隔地に送り、一定の期間ごとに雇用する方法です。

例えば、従業員達は2週間連続で鉱山に泊まりがけで勤務し、次の2週間は休暇を取り、自宅に帰省する、といういわゆるシフト制の勤務体制の事です)

ヘルスケア

 従業員へのインフルエンザ予防接種の提供は、会社側の従業員に対する感染予防及び健康管理とみなされる為、一般的にはFBTの対象外となります。しかし、その場合の治療は従業員が職場及び職場に隣接した場所で提供されている場合にのみ、FBTの免除対象になります。また継続的な医療費の費用は一般的に免除されません。

社用車

従業員の自宅に置かれている社用車は、一般的にFBTの対象となります。しかし、今年のFBTイヤ-は、新型コロナの影響により、多くの会社の駐車場や事業所が閉鎖されました。その結果、ATOはオペレ-ティングコストメゾット(運転コスト方法=実際に走行したぶんや、かかった費用によりFBT価値を算出する方法)を使用する雇用主に対して、「自宅の車庫に入れたまま全く運転されていない、または車を維持する目的で短時間しか運転されていない場合は、フリンジベネフィットとみなされない」としています。ただし車が使用されていないことを示す走行距離計のメータ-を維持する必要があります。

車を使用していた場合、一般的にはフリンジベネフィットが適用されますが、事業目的で使用していた場合は、その課税価格は下がります。また、車が事業のためだけに使用された場合は、課税価格がゼロになる事もあります。

ログブック

新型コロナウィルスの期間中は、運転のパターンに影響を与えている可能性が高く、ATOは12週間のログブック期間が中断されたところでいくつかの譲歩をしました。

●         すでにログブック方式を使用していて、かつ既存のログブックを持っている場合は、これを使用する事ができます。ただし、ロックダウン期間中も含めて年間でどれだけ車が運転されたかを示すために、年間の走行距離計の記録を残しておく必要があります。

●         ログブックを初めて使用した年である場合でも、12週間の正確なログブックを保管する必要があります。しかし、新型コロナが12週間の運転パターンに影響を与えた場合、ATOは運転パターンの変化を考慮して、ログブックに記載されている使用量を調整することを許可しています。

非営利のサラリーパッケージ

 – 非営利の雇用主は、免除とリベート可能な上限を利用するために、サラリーパッケージの食事接待を従業員に提供することはよくある事です。ATOは、2020年3月1日時点で認可されている供給者によって食事が提供されている場合には、これらの取り決めを調査しないと表明しています。

キャンセル料– キャンセルされたイベントの返金不可の費用に関しては、従業員が自らイベントの費用を支払ったりまたは払い戻しを受けた場合を除き、FBTから免除されます。

つまり、雇用主がイベントの費用を支払った場合、そのキャンセル料は利益が生まなかった為、雇用主の義務となります。もし従業員がイベントの為に支払った場合は、キャンセル料は払い戻しを受けた従業員の義務になります。これは誰が取り決めをしたかにより、異なってきます。

ATOの危険信号

ATOが問題点をたやすく発見する方法は、ATOに提供された情報の中にミスマッチがある場合です。一般的な問題点としては、以下のようなものがあります。

●         フリンジベネフィットが認められない交際費控除

– ATOが問題にすぐ気付くケースとして、フリンジベネフィットが単純に認められない場合になります。例えば雇用主が外食やクリケットの試合のチケットなど、高額な交際費の控除を請求した時です。一般的に交際費は控除対象から除外されるので、フリンジベネフィットの対象とみなされず、またGST控除も請求できません。

FBTでアクチュアルメソッドを使用している場合、もし提供されたベネフィットが300ドル未満であれば、FBTの対象外となるでしょう。まとめるとこうなります。

●         クライアントに提供されたベネフィットは FBTの対象とはならない(従業員とアソシエイトのみが対象となります)

●         従業員に提供された小額の給付金(300ドル未満の価値のもの)は、一般的に FBTの対象外となります。(少額かつ不規則な場合)

●         エンタ-テイメントについては控除を請求すべきではありませんしそれに伴い、GSTクレジットも通常は利用できません。

50/50メソッドを採用している場合は、食事接待費の50%がFBTの対象となりますので(少額のベネフィットの免除は適用されません)。費用の50%が控除対象となり、50%のGST控除を請求することが可能となります

従業員が自ら負担した金額はフリンジベネフィット税を軽減するが、確定申告では認識されない

従業員が負担した金額が、フリンジベネフィット税を軽減する場合(例えば、従業員が自動車のフリンジベネフィットに対して、自ら一部の代金を負担した場合)その金額を雇用主の確定申告で確認する必要があります。

コロナのワクチン接種と職場

オーストラリアでは2021年2月21日に最初のCOVID-19ワクチンが導入されましたが、それに先立って抗議の波が押し寄せました。この導入に伴い、個人の権利、職場の健康と安全、及び予防接種の実地について等、雇用者にとっては悩ましい問題が発生する事態になっています。

COVID-19ワクチンの実地は段階的に管理され、2021年末までに実施が完了する予定です(参加資格はこちらで確認できます

→ 

https://covid-vaccine.healthdirect.gov.au/eligibility

 オーストラリア政府の新型コロナのワクチン接種方針では

→ 

https://www.health.gov.au/sites/default/files/documents/2020/11/australian-covid-19-vaccination-policy.pdf

「ワクチン接種は強制ではなく、個人が接種しないことを選択する事も出来ます。」

と述べていますが、しかしこれはボーダーを越えて移動する為に必要なワクチン接種の証明の取得を怠った者に対する処罰が行われないと云う意味ではありません。

例えばオーストラリアでは、すでに「No Jab, No Play」の前例もあります(2016年1月1日から医療以外の理由を除いてワクチン接種を拒否する事が出来なくなりました。)

= [ノー・ジャブ・ノー・プレーとは、子どもがワクチン接種を受けていないと子ども手当等の負担が受けられない政策] 詳しくは下記のWebsiteをご参照下さい

https://www.abc.net.au/news/2020-08-20/coronavirus-vaccine-mandatory-rules-anti-vaxxers/12575138

現時点では、オーストラリアには雇用主が従業員に対して新型コロナウィルスの予防接種を義務付けられる法律や公衆衛生命令はありませんが、状況によってはワクチン接種を義務付けられる場合もあります。詳しくは下記をご参照下さい。

雇用主は従業員に予防接種を義務付けることができますか?

おそらくほとんどの雇用主にとっては不可能ですが、フェアワークオンブズマン によると(オーストラリアの職場関連法の順守を規制する機関。詳しくはこちらのWebsiteを参照願います)。

→ 

https://www.fairwork.gov.au/language-help/japanese

状況によっては雇用主が従業員に予防接種を受けるように要求が出来る場合がある、と述べています。それは以下のケースになります

州政府または準州政府が、労働者に予防接種を義務付ける公衆衛生命令を制定した場合

(例えば、危険性の高い職場または産業などに関わっている人達)

協定や契約書で義務付けられている場合

 一部の雇用契約書の中には、従業員にワクチン接種を義務付けているものがありますが、このような条項がある場合は、COVID-19ワクチンにも適用されるかどうかを確認する必要があります。

合法的かつ合理的な指示

 雇用主は従業員にワクチン接種するように指示を出す事は出来ますが、その指示が“合法的かつ合理的かどうか” はケースバイケースになります。例えばその状況は職場環境によって異なります。

✔        国境管理や検疫施設などで働く人へのコロナ感染のリスクがより高くなる場合。

✔        医療関係や高齢者の介護施設等で働いている人で、普段から感染力が高いと思われる患者(COVID-19によりかかり易い人々)等と関わっている場合は、”合理的 “になる可能性が高くなります。

✔        もし従業員が医療以外の理由で、予防接種が必要な職場にも関わらず拒否した場合は標準的な手続きが適用され、雇用者は懲戒処分を行う必要があります(予防接種を拒否した従業員に対し、停職や降格処分を行う特別な規定はありません)

雇用者は予防接種の証明を求める事ができますか?

一般的に雇用主は、“合法的かつ合理的な理由” がある場合は予防接種の証拠を求める事ができますが、

●         医療記録へのアクセスを要求

●         個人の医療情報のデータを保存

などする事は、プライバシーにも影響しかねません(詳細については、Office of the Information Commissionerを参照してください

https://www.oaic.gov.au/privacy/guidance-and-advice/coronavirus-covid-19-vaccinations-understanding-your-privacy-obligations-to-your-staff/

予防接種の履歴は、メディケアにリンクされている場合は、myGovアカウントからアクセス可能です。またExpress Plus Medicareアプリhttps://www.servicesaustralia.gov.au/individuals/services/medicare/express-plus-medicare-mobile-app

を使えば、スマ-トフォン等でこの情報にアクセスすることができます。個人のワクチン接種状況を迅速に確認できるオーストラリアの「ワクチンパスポート」については、まもなく詳細が発表される予定です。 たとえば、イスラエルの「グリーンパス」はシンプルなQRコードを使用していますが、簡単に偽造される恐れがある事がすでに心配されています。

顧客に予防接種を義務付けられますか?

一部の危険性の高い産業では、顧客にワクチン接種を義務付けられるでしょう。もし顧客が接種できない場合には、検疫や検査などの措置を強化する事になります。

 カンタス航空のアラン・ジョイス最高経営責任者(CEO)は、A Current Affair(Channel 9のAustralian TV show)に対し、”国際線を利用するお客様に対しては、航空機に乗る前に予防接種を受けて頂く事をお願い出来るように、利用規約を変更することを検討しています “と述べています。カンタス航空は、国内・国際線に関する情勢を2021年の半ばから後半にかけて発表すると云うことです。

危険性の高い産業に関わる事業主は、従業員や顧客に対して今後予防接種を義務付ける予定がある場合は、まずは従業員とよく話し合い、また産業に詳しいスペシャリストに相談する事が重要です。